らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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桜城(下諏訪町)  

◆素晴らしき遺構を留める下社大祝の館の詰城◆

諏訪に攻め込むには、それなりの事前学習が必要だ。現代社会では「予習」というらしい・・・(笑)

全国各地に点在する諏訪社の総本社があり御柱で有名なこの地域は、古代~中世まで神氏という特異な出自であり国人土豪とは一線を画していた。

霞城 (2)
毎年大勢の観光客で賑わう諏訪大社下社秋宮。


室町時代の諏訪地方は、諏訪一族が三家に分かれて統治し均衡を保っていた。

上原城を拠点とする諏訪総領家、干沢城を拠点とした上社大祝家(かみしゃおおほおりけ)、桜城を拠点とする下社大祝家金刺氏(しもしゃおおほおりけかなざしし)の三家である。

いずれも麓の居館と逃げ込み城がセットで機能した城郭を持っていた点では共通している。

桜城
下諏訪温泉街から見る桜城跡。


応仁元年(1467)に応仁の乱が始まると下剋上は地方にも影響し、文明十二年(1480)に上社の大祝家と諏訪総領家の争いの隙をついて勢力拡大を画策した下社の金刺氏は総領家に攻め込むが、永正十五年(1518)には諏訪頼満に社殿を焼き払われて逃げ、金刺氏は没落。

上社の大祝継満(おおほおりつぐみち)も文明十五年(1483)に総領家の乗っ取りを狙い諏訪政満を自身の館に誘い謀殺するが、諏訪総領家の家臣団に逆襲され干沢城に立て籠もるも支えきれず高遠へ逃げ落ちる。

三つ巴の戦いを制し諏訪を統一した諏訪頼満だったが、頼重の代の天文十一年(1541)に隣国である甲斐の武田晴信の侵略により滅ぼされてしまう。

ここまで予習出来ればヨシとするか・・・(笑)

桜城 (15)
本郭は30×40の三角形。

桜城の築城年代は定かではない。

下社大祝家の金刺氏が神殿(こうとの)と称した居館を現在の下諏訪中学校のあたりに築いていたというので、居館とセットで造営された詰城であろう。

桜城 (17)

金刺氏は、木曽義仲が幼少の頃にこの城に匿って木曽落ちを手助けし、平家打倒の軍を起こした時には従軍したという言伝えもあるので、諏訪神社の神官としては相当な地位にあった事が伺い知れる。

桜城 (20)
本郭の南側の段郭。

前述の通り諏訪三家であった金刺氏は、応仁の乱以降に、本家と上社大祝家の争乱に乗じて総領家乗っ取りを謀ったが失敗し、逆に諏訪総領家により攻められて没落する。

桜城も、その争乱において落城の憂き目にあったのだと推察される。

桜城縄張図

天正十一年(1542)諏訪頼重が武田晴信に攻められ滅亡すると、諏訪地方の拠点支配の為に上原城が修築されると、桜城も「下宮の城」として改修を受けている(高白斎記)

領土を接する小笠原長時への備えとして重要視されたのかもしれない。

桜城 (23)
主郭背後の㋐大堀切。

現在残る四本の堀切と竪堀二本は武田による改修の跡であろう。

桜城 (28)

桜城 (30)

桜城 (32)

尾根を執拗に切断しているのは、この城の弱点を補う意図が見られる。

桜城 (40)

二の郭には、インディアンのテント跡がある(笑)

この郭は城の要であり、二本の竪堀を接続する複雑な構造から攻めての横移動を阻止する意思が存在する。

桜城 (48)

桜城 (49)

城跡を所有する地主さんが「烽火」(?)をしていたので、許可をもらい散策後に


「山城調査の人ですか?」  といわれたので、

「信州上田から来たマルサです」(爆)

桜城 (51)

史蹟保存に関しては、町から相当な制約を受けているという。

「史蹟保存に際しては、地元の皆さんの協力と努力が無ければ、私のような風来坊が桜城を目にする事もなかったのだと思います。なので、是非、今後この城を訪れる人には、ありのままを見せてあげて下さい」

らんまるの本音である。

桜城 (59)

地主さんの上げる烽火が、城好きの皆さまへの合図である事を願うらんまるです。


≪桜城≫ (さくらじょう 桜井城・湯沢城)

標高:874m 比高88m  
築城年代:不明
築城・居住者:下社大祝氏、武田氏
場所:下諏訪町小湯の上
攻城日:2012年2月19日 
お勧め度:★★★★☆
城跡までの所要時間:15分
見どころ:郭、竪堀、堀切、段郭
参考文献:「図解山城探訪 第一集 諏訪資料編 宮坂武男著」






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Posted on 2012/02/28 Tue. 23:15 [edit]

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