らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

0926

山崎砦 (東筑摩郡筑北村山崎)  

◆幻の大野田城は存在したのか?◆

亀山城の続きは北條城(西牧城)の予定だったのだが、先日ご同行させていただいた馬念様に「大野田城とは山崎砦だった可能性がある」とお聞きして急遽掲載に至る・・・(笑)

この話、初耳である。もっとも読書週間でも設定しなければ歴史読本とか城郭研究者の発表などを読む機会もないので、不勉強なわが身を恥じるばかりである(汗)

山崎砦 (1)
この標柱から登ると道が途中で無くなり、とんでもない城域のはるか北側に出るので注意。

筑北村で未踏破なのは「口城」「硯竜砦」そして「山崎砦」の三ヶ所であったが、山崎砦は比高100m程度なので下見ついでに攻め込んでしまった。

「標柱=城跡への案内板」というのは今回は全くのウソだったのである。

山崎砦 (2)
藪漕ぎの先に辿りついた広大な平地。

虚空蔵堂の脇に道があり、急斜面を登ると踏み跡は消滅し2m近い高さの藪との戦いが続く。

やっとのおもいで尾根の平坦地に出たが、例の如く「ここは何処?砦は何処?・・・」(笑)

「きっとデカイ腰郭で、この先の斜面は切岸、そしてその先に本郭があるんだろう」

思い込みとは時に方向感覚すら麻痺させる。

山崎砦 (3)
こんなデカイ腰郭あるわけ無いのにねえー。


気が付いたら尾根を登り始めている。

尾根の南端に砦があるのに何で北へ向かう??

慌てて元の道を戻るが、既にどこをどう来たのか全く覚えていないのだ・・・・(汗)

「ヤバイ、迷ったか」 このことである。

山崎砦見取図

とりあえず南東の稜線を辿り方角が確かめられる視界を確保しようと戻る。

そこで見たのが高土塁と一条の堀切だった。

山崎砦 (6)
上巾7mの堀切と主郭背後の土塁。

「ここにあったのか…………」  何故か元気を取り戻した(爆)

想像していたよりも遥かに小さいのだ。

山崎砦 (9)
主郭の中央部は円形の盛土。中途半端な処理のまま。

山崎砦 (12)
西の尾根筋に向けて小さな段郭とコの字型の腰郭を周回させている。


欠の山(がけのやま)と呼ばれる尾根端の断崖上であるが、傾斜の緩い西の尾根筋を警戒した防御である。

安坂川の浸食で形成された対岸には厳重な防御を誇る安坂城がある。

ここにわざわざ砦を作る必要があったのだろうか?

山崎砦 (17)
本郭をコの字型で囲む腰郭。

天正壬午の乱で、麻績及び筑北地方は上杉vs小笠原の壮絶な陣取り合戦の地となった。

中央では豊臣vs徳川の覇権争いが激化する中で、地方はさながらに代理戦争の様相を呈していたのである。

川中島四郡の支配を確立した上杉景勝は、中信濃への侵攻の拠点として牧之島城の城代芋川親正に、新たな城の築城を命じたという。

それが大野田城らしい。

山崎砦 (19)
背後の堀切に続く不整形な腰郭。


確かに大野田という地名はこの山崎砦の麓にある山崎集落から北に実在する。

地理的に最も可能性があるのが、この山崎砦なのだが、こんなプアな縄張りは原始的で天正期のものとは到底思えない。

小生が彷徨った城域北側の広大な場所に新たに縄張りする予定だったのだろうか?

山崎砦 (25)
大手道にある金毘羅大権現社。大手道を発見し帰還できたのは不幸中の幸いだった(笑)


小生は同時にもう一つの疑問を想い出した。

上杉家の「定納員数目録」に記載されている猿ヶ馬場留守居役の清野助次郎とその士卒250名の駐屯場所が今もっ定かになっていない事・・・。

彼らが駐屯した場所は佐野城龍王城だったのではないかというのが定説になりつつあるが、あんな山間の間道よりは案外ここら辺だったように思える。

村誌によれば、山麓に居館を構えていた吉池淡路守の築きし砦とあり、尾根の平地は馬が走りまわる事が出来、水の手もあったという。
吉池氏の出自や仕えていた先は不詳としているが、文献が発見されれば謎は解かれるかもしれない。


山崎砦 (26)
大手道の脇には吉池氏の墓所が並ぶ。この道が山崎砦への正規ルートであったのだ。


半袖に短パンで藪に立ち向かい、挙句の果てに尾根をよじ登り迷子になりかけた猪武者であったが、「じっちゃんの名に賭けて」という解明にはほど遠い戦果であった・・・・(爆)

間違ったルートに標柱を立てた筑北村の教育委員会には暴徒化した抗議デモを行う予定である・・・(嘘です)


≪山崎砦≫ (やまざきとりで)

標高:755m  比高:115m
築城年代:不明
築城・居住者:吉池氏
場所:筑北村坂井山崎
攻城日:2012年9月17日
お勧め度:★★☆☆☆
城跡までの所要時間:15分
見どころ:堀切、土塁、城域北側の広大な平坦地。
その他:対岸に安坂城。
参考文献:「図解山城探訪 第五集 松塩筑資料編 宮坂武男著」

山崎砦 (29)
安坂神社(安坂城登り口)からみた山崎砦全景。









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Posted on 2012/09/26 Wed. 21:40 [edit]

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