らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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城日影砦 (松本市梓川上野 八景山)  

◆飛騨・木曾方面からの侵入者を見張った要衝の砦◆

せっかく信州も桜の名所が満開になったので、今年の松本城の写真を載せておきましょう。

ninomarusakura.jpg松本城二の丸御殿の桜。

二ノ丸桜石垣、水堀、桜のコントラストが見事です。


「ああ、今年も山城探訪の見ごろが終わるのだな・・・」

ふと感傷的な気分になる。いくつになっても男はロマンチストであり続けるのだ・・・・・・(笑)

今回ご紹介するのは、松本電鉄上高地線の終点「新島々駅」の梓川を挟んだ対岸の山の峰の途中に築かれた「城日影砦(じょうひかげとりで)」である。

こんな愛すべきゴミのような砦にスポットを当てるのは、宮坂武男氏か小生、サポートメンバーのていぴす殿ぐらいであろうか。

城日影砦 (35)登り口は八景山集落の北側林道の終点にあるこの鉄塔が目印。

麓からの比高は150mぐらいなので楽勝か?

城日影砦 (36)

これといった登山道は無く東の稜線伝いに適当に直登する。急斜面なので尾根に這い上がるまでが結構キツイ。

約15分ほど我慢して登ると削平された15mの帯郭があるので、そこからが城域となる。

城日影砦 (5)堀切㋐から見た帯郭。

城日影砦久々に「ヘタクソォ!!!」と叫びたくなる鳥瞰図である。シャープペンでここまで描けるのだと本人はウソブイテいるが・・・(笑)


【城主・城歴】

滋野一族の出身で北條城を本城とした西牧氏の領地の西境目を守った砦というのが定説らしい。

上高地への入り口というのは明治以降の話だが、それ以前は飛騨地方や木曾方面への街道に繋がる要衝の地であり、西牧氏が所領への侵入者を見張った砦というのは頷ける場所である。

塩尻峠の戦いでは真っ先に長時さんを裏切り晴信さんに寝返った西牧氏は、武田氏滅亡後に真っ先に貞慶さんに滅ぼされる。時勢を見る目はあったのだろうが、処世術には疎かったようである。

西牧氏滅亡後、貞慶さんが木曾氏や飛騨勢の侵入に対する監視砦として引き続き活用したと思われるが確証は無い。

城日影砦 (4)上阻mの堀切㋐

城日影砦 (11)主郭から見下ろした堀切㋑。東側は一部欠損している。

この砦の眼下を通る街道は通称「野麦街道」と呼ばれ野麦峠にその名の由来を持つが、江戸時代にはそんな呼び名は無く飛騨道とか善光寺往還道が一般的であった。(街道という名称は幕府の定めた街道以外には使えなかった)

雑談だが、野麦峠は「あゝ野麦峠」という小説を原作とした映画で一躍有名な場所になので覚えている方も多いと思う。あの映画で当時の女工さん達が全て製糸工場の劣悪な環境で労働を強いられ悲惨な状況に陥り、会社は拝金主義の血も涙もない資本主義の悪魔だったという既成概念が植え付けられてしまったのは残念である。

城日影砦 (13)ホームベース型の主郭。

信府統記によれば、松本から木曾谷の藪原を経由して野麦峠を越えるのを本道と呼び、梓川流域から奈川村を経由するのを山道と呼んだようである。

江戸時代の加賀藩も江戸への参勤交代にかかる時間と経費の短縮のためにこのルートを検討したというが、道幅も狭く険しい峠道であるため断念したという。

城日影砦 (15)本郭の三角点。

城日影砦見取図①
※宮坂武男氏の縄張図を参照しています。

梓川の流域を支配していた西牧氏は、北條城-亀山城-田屋城-鞠子山砦-城日影砦のネットワークを活用していたと思われる。

が、どうしたことか最西端の城日影砦からは北側の穴沢山が邪魔で、ノロシは全く繋がらない位置にある・・(汗)

城日影砦 (17)この山の向こうに鞠子山砦があるのだ。

ていぴす殿は、梓川の河川敷あたりに中継点があったのだろうと推察されているが、それだけでも緊張感の無いお気楽な一族である事が分かるというものだ・・(笑)

城日影砦 (16)主郭背後の二重堀切(㋒と㋓)

城日影砦 (26)南斜面を竪掘りとして落ちるアレ。

城日影砦 (28)楕円形の削平地の先には何も無い。


たかが物見されど物見なので、前後を二重堀切で囲む防御施設はあるが実戦や局地戦は想定していなかったような気がする。

小笠原長時を早い時期に見限った滋野一族の会田氏、塔ノ原氏、光氏、西牧氏。

ソ連のスターリン大静粛にも似た貞慶さんの復讐劇は、西牧さんを血祭りにして幕を開ける。

そして誰もいなくなった・・・・・・・・・(怖っ)

城日影砦 (32)主郭下の切岸にある城内の通路。


≪城日影砦≫ (じょうひかげとりで)

標高:893m 比高150m 
築城年代:不明
築城・居住者:西牧氏
場所:松本市梓川上野八景山(やけやま)
攻城日:2013年3月17日 
お勧め度:★★★☆☆
城跡までの経路:八景山集落の北の林道を終点まで行き鉄塔付近に駐車。
見どころ:堀切、郭など
付近の城跡:田屋城、鞠子山砦、田屋城など
注意事項:止め山なので秋は避けるべし
参考文献:「信州の山城と館④ 松本・筑摩編 宮坂武男著」
Special Thanks:ていぴす殿


城日影砦 (1)城日影砦全景。










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Posted on 2013/04/20 Sat. 21:45 [edit]

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