らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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小松原城 (長野市篠ノ井小松原)  

◆善光寺平の犀川口からの侵入に備えたミステリーサークル◆

昨日ご紹介した「城取りの軍事学 西股総生著」を読み終えた。既成概念を取り払う事は必定ですねえ。

著者も「はしがき」で述べているが入門書や分かり易い解説書の類では無いので、ある程度「ヲタク」の領域に踏み込んだ方にお勧めしたい。(どっぷり浸かっている方やビョーキと呼ばれる方にはカンフル剤かもしれない)
「杉山城問題」にも触れていて著者なりの見解が記載されているので、拘るのであれば買いでしょうネ(笑)

んで、今回ご案内する軍事構築物は長野市篠ノ井にある「小松原城」(こまつばらじょう)

小松原城 (79)天照寺の裏山が城跡。このお寺は、山門をくぐると更に不思議な灯篭の門がある。仁王像の変形バージョンらしい。

この城、WEB上でレポートしているのは北緯36後付近の中世城郭の「あおれんじゃあ様」ぐらいであろうか。

小生もこの目(節穴ともいう)で確かめたかったのだが、二度めで何とか現地に到達する・・(汗)

小松原城 (7)天照寺の墓地の裏から踏み跡を辿ると通行の途絶えた私道に出る。(登って来た道路を振り返って撮影)突き当りは民家で私有地なので注意。

【立地】

甲越合戦で信玄が本陣を置いたという茶臼山から北へ続く丘陵地帯にあり800m先は犀川への断崖となる。
犀川を挟んだ対岸1.5kmには吉窪城がある。

小松原城 (9)城域の登り口には往時の水の手だったと思われる池がある。

空き家とはいえ、「私有地なので立ち入らないで下さい」という看板があったので、遠回りして城域を捜してみた。残念ながら強引に民家に不法侵入する城跡探検隊がいるのであろう(怒)恥ずかしい気持ちと申し訳無い気持ちになる。

小松原城見取図①

【城歴】

戦国時代に滋野系海野氏一族の土豪である小田切氏が佐久からこの地へ移り、川中島於下(おしも)、小市(こいち)を領有していたので、吉窪城小市館と共に小田切氏関連の城と思われるが確証は無い。

小松原城 (12)城域の北側斜面。この強烈な角度は人工的な切岸だと直感が教えてくれた(笑)

小松原城 (16)息を切らして駆け上がると土塁が周回する横堀がお出迎えしてくれる。

【城を取る】

西股氏は山城の防御方向を「指向性」と呼んでいるらしい。差し当たり小松原城は北と西、つまり犀川の左岸からの敵を想定して作られたようだ。
対岸の吉窪城と連携して善光寺平の入り口を防衛する意図があった事が読み取れる。
二つの城は構造も良く似ているので、同時期に築城もしくは改修が為されたようである。

小松原城 (21)横堀の西側終点から郭1への虎口。

小松原城 (26)郭1の内部は剥き出しの岩盤を中心にセル化され削平されていない。防御の為の意図的な設計だろう。

小松原城 (35)西側の横堀。郭に土塁を付ける事で敵の滞留と味方の射撃精度を上げる構造。

吉窪城の縄張りは幾何学的で信州の山城としては「変な城」の代表に思える(笑)
しかし、小松原城、吉窪城の基本コンセプトである「土手付き横堀+高土塁による囲み郭(セル指向)」の元になった城を思い出した。
そう、長野市浅川の枡形城だ。

小松原城 (41)郭2の西側に続く防塁。かなりしっかり普請されているで驚きである。

甲越戦争で武田晴信は一時期川中島四郡からの前線撤収を余儀なくされ、攻撃口は深志経由の犀川ルートのみとなった時期があった。
この時に上杉軍勢力または上杉軍の支援を受けた北信濃の豪族が改修し交替で詰めた可能性がありそうだ。

小松原城 (44)郭3。地山に少し手を入れた程度。小屋掛けも不要だったらしい。

小松原城 (50)西側に竪掘を作りかけたような跡がある。

残念ながらここからの景色は雑木林に阻まれて見る事が出来ないが、往時は対岸の吉窪城はもちろん、善光寺平を一望出来る位置にあり、異変を察知するには絶好のロケーションだったと思われる。

小松原城 (61)郭3から見上げた郭1方面。結構な落差がある。

小松原城 (67)登り口から見た海津城方面。

甲越合戦の終息と新たな国境の確定によりこの城も、そして川中島周辺の諸城はその役目を終えたのかもしれない。

≪小松原城≫ (こまつばらじょう 城山)

標高:554m 比高:188m
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:長野市篠ノ井小松原(天照寺の裏山)
攻城日:2013年11月14日 
お勧め度:★★★☆☆  
城跡までの所要時間:15分
駐車場:天照寺駐車場借用
見どころ:横堀、土塁、切岸など
注意事項:民家及びその周辺には立ち入らない事
参考文献:「信濃の山城と館➋ 長野・更埴編 宮坂武男著」
付近の城址:吉窪城、小市館、於下館、窪寺城

小松原城 (85)西側よりの遠景。

小松原城 (86)西側の犀川に架かる小市橋から見た吉窪城と小松原城。犀川口を抑える意図が確認出来る。

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Posted on 2013/11/17 Sun. 14:15 [edit]

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