らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~
「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。
0422
疲労困憊の比高差を痛感した須田城砦群の攻防 
◆信濃先方衆をコテンパンに凹ませた屈強で美しき三つの要塞◆
登山では山の高さを標高で表し2000メートルクラスとか3000メートルクラスの山々などと記載するが、「比高(ひこう)」という言葉はあまり使われない。
算式で表すと、「比高=目的の所在地の標高-登り口(現在地)の標高」となり、実際の高低差の事である。
なので、標高1000mの山城などと書くと物凄く高い場所にあるような錯覚を起こしてしまう。長野県は元々主要な平野部における標高が300m~400mぐらいなので、実際の高低差は高くても600mぐらいだろうか。
平地の居館城を除いて、山城の比高差の平均値は120m以下が多数を占めているのは現実的な物差しと見ていいだろう。

覚悟を決めて出撃して来ても、現実の目標を見ると決心が揺らぐのである・・(汗)
だが信州の山城は、楽して見学する事を許さない比高差の場所にマニア垂涎の城が存在している。そこが厄介なのだ。
なので、それなりの覚悟と装備と労力(体力)、ひとかけらの勇気が必要になる・・(笑)
幾多の修羅場を潜り抜けてきたと自負していた信濃先方衆は、その初心を忘れて慢心していたのかもしれない。
「もう歩くのすら嫌だ・・・」 (小生も同行したていぴす殿もヘロヘロ)
4月20日、精も根も尽き果てそうだった苦難の須田城砦攻防戦のハイライトシーンを少しだけ回想してみますか(汗)

今回の攻城ルート。机上で考えた安易な作戦など、現実の前には脆く崩れ去った。
【大岩城】 山麓からの比高219m
攻城ルートは三つあるようだが、前回紹介した福島正則居館跡のある堀之内地籍の北東尾根から登るのが正解。
北西尾根も城域となる全長約1.2kmの尾根上に築かれた連郭式の城。

福島氏の居館跡から見た大岩城の城域の尾根先。三角形の頂点から600m奥に主要な郭と堀切がある。

痩せ尾根の岩場。

石積みで周囲を覆われた主郭。武田流の築城技術が随所に見受けられる。

度肝を抜かれた主郭背後の大堀切。武田さんちの色濃い築城技術の産物であろうか。

大岩城の城域の先端。ここから1時間の悪戦苦闘で雨引城へ。
【雨引城】 山麓からの比高510m、大岩城との比高差291m
雨引城へ向かう斜面の勾配は五十度近い地獄で、挙句の果てに途中から迎撃で出撃してきた猿のファミリーと遭遇し異様な緊張感に包まれる。しかも子連れ猿なのでヤバい。
しかし我ら信濃先方衆は、1時間も斜面を登り続けているので「ヘロヘロ」であり、一撃で即死状態の疲労困憊状況である・・・(汗)

猿との決戦を回避し辿り着いた明覚山の鞍部。
明覚山の三角点は957.8mで表示される標高は別の峰で982m。チョッと変だ(笑)。いずれも城域には違いない。

こちらが正式な山頂で、城域の主郭でもある。
痩せ尾根に総延長800mの城域があり、アップダウンはハンパ無い。
単独の攻城戦なら灰野峠の林道を利用しての裏技もアリだったが、縦走攻めなら出来ない相談である(汗)

猿の次はカモシカくんの歓迎セレモニーである(爆)
明覚山からの現在の景色は酷いものでお勧め出来ない。だが、この場所から須田氏の城郭、高梨氏の城郭も見渡せる。また、謙信が川中島への出撃路として使用した謙信道を抑える恰好の位置にあるので、戦国末期まで使用された可能性は否定できない。
【月生城】(つきおいじょう)山麓からの比高258m 雨引城との比高差252m
国土地理院のmapや地形図を見ると、雨引城から月生城へは峰続きで道があるものだと短絡的には考えたが、大きな間違いであった・・・(汗)

高山村の堀之内から見た月生城と雨引城の位置関係。
尾根は急崖で分断され、我々も「万事休す」という事態に陥る。
幸い、修羅場潜りの猛将で百戦錬磨のていぴす殿の機転で杉林の斜面をトラバースして難無きを得たが、図面では読めない山城攻めの難しさを痛感した次第である。

主郭背後の堀切。

美しい主郭側面の帯郭と切岸。

上杉系の改修を示す畝状竪掘。
月生城は武田と上杉の改修の跡をそれぞれ堪能出来る城で、甲越合戦~天正壬午の乱までの変遷が凝縮されている。これから城跡の整備がされるようなので、その姿を現代の人に知ってもらう良い機会だと思われる。

長大で二重竪掘の構造は武田流そのもの。
正直なところ、もう我々信濃先方衆は体力の限界だった。
本当は次に枡形城も攻め落とすスケジュールだったが、足腰が限界に達していたのである。

急斜面を段郭で刻む手法は武田流とも。
朝の6:30に攻め登り、帰還したのは14:30.
森林浴といえば聞こえは良いが、命懸けの攻城戦記となったのは事実であろう。
それぞれの城の攻城記はそのうち・・・・・
登山では山の高さを標高で表し2000メートルクラスとか3000メートルクラスの山々などと記載するが、「比高(ひこう)」という言葉はあまり使われない。
算式で表すと、「比高=目的の所在地の標高-登り口(現在地)の標高」となり、実際の高低差の事である。
なので、標高1000mの山城などと書くと物凄く高い場所にあるような錯覚を起こしてしまう。長野県は元々主要な平野部における標高が300m~400mぐらいなので、実際の高低差は高くても600mぐらいだろうか。
平地の居館城を除いて、山城の比高差の平均値は120m以下が多数を占めているのは現実的な物差しと見ていいだろう。

覚悟を決めて出撃して来ても、現実の目標を見ると決心が揺らぐのである・・(汗)
だが信州の山城は、楽して見学する事を許さない比高差の場所にマニア垂涎の城が存在している。そこが厄介なのだ。
なので、それなりの覚悟と装備と労力(体力)、ひとかけらの勇気が必要になる・・(笑)
幾多の修羅場を潜り抜けてきたと自負していた信濃先方衆は、その初心を忘れて慢心していたのかもしれない。
「もう歩くのすら嫌だ・・・」 (小生も同行したていぴす殿もヘロヘロ)
4月20日、精も根も尽き果てそうだった苦難の須田城砦攻防戦のハイライトシーンを少しだけ回想してみますか(汗)

今回の攻城ルート。机上で考えた安易な作戦など、現実の前には脆く崩れ去った。
【大岩城】 山麓からの比高219m
攻城ルートは三つあるようだが、前回紹介した福島正則居館跡のある堀之内地籍の北東尾根から登るのが正解。
北西尾根も城域となる全長約1.2kmの尾根上に築かれた連郭式の城。

福島氏の居館跡から見た大岩城の城域の尾根先。三角形の頂点から600m奥に主要な郭と堀切がある。

痩せ尾根の岩場。

石積みで周囲を覆われた主郭。武田流の築城技術が随所に見受けられる。

度肝を抜かれた主郭背後の大堀切。武田さんちの色濃い築城技術の産物であろうか。

大岩城の城域の先端。ここから1時間の悪戦苦闘で雨引城へ。
【雨引城】 山麓からの比高510m、大岩城との比高差291m
雨引城へ向かう斜面の勾配は五十度近い地獄で、挙句の果てに途中から迎撃で出撃してきた猿のファミリーと遭遇し異様な緊張感に包まれる。しかも子連れ猿なのでヤバい。
しかし我ら信濃先方衆は、1時間も斜面を登り続けているので「ヘロヘロ」であり、一撃で即死状態の疲労困憊状況である・・・(汗)

猿との決戦を回避し辿り着いた明覚山の鞍部。
明覚山の三角点は957.8mで表示される標高は別の峰で982m。チョッと変だ(笑)。いずれも城域には違いない。

こちらが正式な山頂で、城域の主郭でもある。
痩せ尾根に総延長800mの城域があり、アップダウンはハンパ無い。
単独の攻城戦なら灰野峠の林道を利用しての裏技もアリだったが、縦走攻めなら出来ない相談である(汗)

猿の次はカモシカくんの歓迎セレモニーである(爆)
明覚山からの現在の景色は酷いものでお勧め出来ない。だが、この場所から須田氏の城郭、高梨氏の城郭も見渡せる。また、謙信が川中島への出撃路として使用した謙信道を抑える恰好の位置にあるので、戦国末期まで使用された可能性は否定できない。
【月生城】(つきおいじょう)山麓からの比高258m 雨引城との比高差252m
国土地理院のmapや地形図を見ると、雨引城から月生城へは峰続きで道があるものだと短絡的には考えたが、大きな間違いであった・・・(汗)

高山村の堀之内から見た月生城と雨引城の位置関係。
尾根は急崖で分断され、我々も「万事休す」という事態に陥る。
幸い、修羅場潜りの猛将で百戦錬磨のていぴす殿の機転で杉林の斜面をトラバースして難無きを得たが、図面では読めない山城攻めの難しさを痛感した次第である。

主郭背後の堀切。

美しい主郭側面の帯郭と切岸。

上杉系の改修を示す畝状竪掘。
月生城は武田と上杉の改修の跡をそれぞれ堪能出来る城で、甲越合戦~天正壬午の乱までの変遷が凝縮されている。これから城跡の整備がされるようなので、その姿を現代の人に知ってもらう良い機会だと思われる。

長大で二重竪掘の構造は武田流そのもの。
正直なところ、もう我々信濃先方衆は体力の限界だった。
本当は次に枡形城も攻め落とすスケジュールだったが、足腰が限界に達していたのである。

急斜面を段郭で刻む手法は武田流とも。
朝の6:30に攻め登り、帰還したのは14:30.
森林浴といえば聞こえは良いが、命懸けの攻城戦記となったのは事実であろう。
それぞれの城の攻城記はそのうち・・・・・
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Posted on 2014/04/22 Tue. 23:00 [edit]
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