らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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青鬼の城峯 (北安曇郡白馬村青鬼)  

◆集落の見張り砦から街道の監視砦へと改変された境目の要害◆

信濃の山城と城館の第一人者である宮坂武男氏の縄張図は、その正確な断面図や独特な堀切記号で初心者だけでなく城ヲタクと呼ばれる我々をも魅了した。

が、しかし、図面の技巧さに魅了されてしまい実物に過度の期待を寄せると、思いがけず「がっかり」する事があるので注意が必要である・・・(笑)

今回ご案内するのは白馬村と小谷村の境目に位置する「青鬼の城峯」(あおにのじょうみね)。WEB初公開らしい。

青鬼の城峯・西通山城201409 (1)
姫川第二ダムの東側にある隠れ里のような青鬼集落(あおにしゅうらく)。高地性集落がタイムスリップしたかのようだ

【立地】

青鬼沢と姫川の合流地点にある姫川ダムの右岸の山頂に立地する。眼下に塩島城を見下ろし、四ヵ庄平(しかじょうだいら)一帯と姫川沿いの千国街道を監視できる位置にある。まさしく要衝の地である。

青鬼の城峯・西通山城201409 (5)
城域手前の尾根の平削地。

青鬼集落から意気揚々と攻め始めたのは良いのだが、途中で方向を見失い、反対側へ進み過ぎて途方に暮れる(笑)
思いきって反転し試行錯誤の上でようやく城跡に辿り着くが、藪で地形の確認もままならず閉口する・・(汗)

青鬼の城峯見取図①

【城主・城歴】

白馬村誌によれば、ここが城跡だという伝承は公式には無く、青鬼集落の言い伝えとして残っていたものらしい。「青柳藤九郎の屋敷址と伝え、僅かに堀跡を残すのみ。(中略) 塩島の砦か」
史料・伝承等全く不明の城である。

青鬼の城峯・西通山城201409 (18)
堀切㋓。ここと堀切㋒までの間の処理は独特である。

青鬼の城峯・西通山城201409 (25)
壁のような通路は天水溜めの工事の際に掻き揚げた土を叩き土塁にしたものであろう。

青鬼の城峯・西通山城201409 (19)
これほど藪が酷いとは想像を超えた堀切㋒。この城域のメインの防御構造である。

【城跡】

通常、物見の置かれる場所は尾根の最高地点か全方位をある程度見通せる場所に作られるのだが、ここの物見は北側が全く見通せない位置にある。脇を通る千国街道と南の四カ庄平だけを見張るなら申し分の無いロケーションではある。
当初は青鬼の集落防衛の為の単純な砦だったものを、甲越戦争の緊張が高まると同時に大勢力によって三方の尾根に周到な堀切を設けて、二段の郭を平削し拡張したのであろう。
城域全てが藪に覆われてしまい、写真ではお伝え出来ないが、保存状態は悪くない。

青鬼の城峯・西通山城201409 (32)
三角形の主郭。適当な整地である。

青鬼の城峯・西通山城201409 (38)
北西の尾根への処理。急傾斜に垂直に近い「壁」(へき)を作る事で厳しい防御に徹している。

青鬼の城峯・西通山城201409 (36)
北西の尾根の処理。堀切一条と武者走りのような郭(長さ50m)である。

青鬼の城峯・西通山城201409 (40)
上巾6mの堀切㋑。

青鬼の城峯・西通山城201409 (43)
隣接する郭2と郭4と堀切㋑の処理方法。

青鬼の城峯・西通山城201409 (47)
藪に埋もれた堀切㋐。写真に補助線を付けないと分からない酷さ。

ここを城跡と知って訪れる人など皆無であろう。場所の特定すら危ぶまれるので、かなりのリスクがあると思われる。
同行した「ていぴす」さんと二人で尾根を右往左往しながら「迷い道くねくね」(笑)
宮坂氏の縄張図の美しさに惹かれて訪問したが、実情は藪だらけの城であった・・・(汗)

青鬼の城峯・西通山城201409 (50)
郭4は長方形。

青鬼の城峯・西通山城201409 (56)
中央部分に高みを残す郭2。

青鬼集落から沢伝いに東へ向かえば物見山(1433m)があり、鬼無里(きなさ)へと通じる古道があったという。
鄙びた古民家の集落には、豪雪の季節を何百年も越えてきた生活の知恵と工夫が今も伝承されている。
ここにも戦国時代の痕跡が残っているとは驚きであった。

青鬼の城峯・西通山城201409 (3)
現在も独自の形をした古民家十数棟が残り、補修しながら生活を営んでいる。まるで桃源郷のようである。


≪青鬼の城峯≫ (あおにのじょうみね)

標高:857m 比高:270m  
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:北安曇郡白馬村青鬼
攻城日:2014年9月27日 
お勧め度:★★★☆☆
城跡までの所要時間:40分(迷わなければ20分) 駐車場:青鬼集落駐車場(寄付金制度あり)
見どころ:堀切、郭
注意事項:迷うと厄介だが、尾根を南へ伝うように歩けばOK。
参考文献:「信濃の山城と館⑦安曇・木曽編 宮坂武男著」
付近の城址:塩島城、西通山城など

どうしても辿り着きたい方は以下を参考に。

青鬼の集落の有料駐車場から西側に戻り古民家の脇道を登る。(車両通行不可)

青鬼の城峯・西通山城201409 (69)
古民家再生プロジェクトが進行中。大工さんに挨拶して脇道を登る。

青鬼の城峯・西通山城201409 (62)
しばらく進むと用水路のある段差。ここを左に折れる。

青鬼の城峯・西通山城201409 (61)
用水路を辿り途中から沢の奥へ進路変更。藪漕ぎが続くが最短の経路である。

地形図とコンパスは忘れずに。スマホのGPSでも大丈夫だと思いますが、バッテリーの残量に注意(笑)



塩島城(白馬村) (48)
塩島城から見た青鬼の城峯。







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Posted on 2014/11/13 Thu. 22:36 [edit]

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