らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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古城館 (木曾義仲史跡関連 上田市長瀬)  

◆木曾義仲の従弟「長瀬判官代義員」の館城と伝わる単郭の居館◆

前回の記事で述べた通り、武士が政治の表舞台に台等する平安末期は約800年前の出来ごとであり、今に伝えられる往時の史跡については伝説や伝承の域を出ないケースが多い。

それを承知で掲載するのは、「戦国の城とは趣を異にする」とお叱りを受けそうだが、戦国時代まで改修を受けて使われたであろう山城・城館はリストに加え、信憑性に乏しい史跡は「義仲ゆかりの推定史跡」として区別していきたいと思う。
基準は極めて曖昧なのだが、小生の直感ということで平にお赦しいただきたい・・・(笑)

今回ご案内するのは、依田氏と共に義仲を東信濃に招聘した豪族「長瀬氏」の居城跡。

古城館跡(丸子町) (1)
南側を流れる練合沢からみた堀切。

【立地】

依田川が千曲川に合流する手前約3kmの右岸の段丘上に位置する。依田川を挟んだ対岸の尾根先には尾野山城があり、依田川流域を南下すれば義仲の居館と依田城を経由して大門峠・和田峠を越えて中信濃へ。そして東へは芦田・望月に通じる要衝の地である。

古城館見取図①
極めてオーソドックスな単郭なんですが、それがイイんですw

古城館跡(丸子町) (2)
居館の南側。道路が作られる前は川(練合沢)に面していたのであろう。


【城主・城歴】

この城館には治承四年(1180)九月に木曾義仲が依田城で挙兵した時に、この地に義仲を迎え入れた中心人物の一人と考えられる長瀬氏がいたのではないかと言われている。

古城館跡(丸子町) (4)
空堀に残る祠。今でも地元の方々に大切にされているようだ。

小県郡史(大正十一年)には「古城址」として以下の記載がある。

「古城は長瀬村古城にある平城にして、西と北とは依田川河段丘に沿ひ、南方に空堀の跡残れり。其の他開墾して田園とんる。里傳に武田の幕下海野民部の臣春原六左衛門の居城といふ。其他に元和元年五月の南無阿弥陀仏の石碑あり、裏面に春原六左衛門尉と刻す。城址の地系は飯沼氏の中城に似たり。
源平盛衰記に見ゆる所の長瀬判官代義員(ながせほうがんだいよしかず)が若し此の地の武士たらんには、或いは此処に拠りたらんか。飯沼氏長瀬氏何れも木曾義仲の従士たり、又信濃細石は曰く長瀬城は平賀武蔵守源朝雅の持ち城にして、永正十七年に至るまで家臣交代して之を守る、平賀源心に至り本城を退去す、之を以て大井美作守玄岑の持ち城となる、天文十二年武田氏のために本城内山落城せるを以て此の城を破却せしむと。

古城館跡(丸子町) (7)
堀形がハッキリ残っているのには驚いた。

古城館跡(丸子町) (8)
南西に突き出る河岸段丘を平削した主郭(44×54)

【城跡】

当初は単郭の方形居館だったようだが、時代の変遷とともに周囲へ拡張していったものと考えられるが、現状を見る限りでは、主郭以外の郭については耕作地・住宅建設による改変が進み城域を確定する事は難しい。

古城館跡(丸子町) (16)
画面中央右の白壁のお堂は春原氏石碑址で長瀬氏の後にこの居館へ入ったと伝わる。


古城館跡(丸子町) (24)
「木曾義仲 信州丸子会」の皆様の説明文。(居館西側のT字路入口に立つ)

長瀬氏の経歴ははっきりしないが、義仲の従士として依田次郎、円子小中太とともにその名が見える。源平盛衰記には「宇治川の戦い」で信濃国住人長瀬判官代義員としてその奮戦の様子が描かれている。

古城館跡(丸子町) (29)
城域の北側から撮影。

古城館跡(丸子町) (33)
西側に二段の郭があったと思われる。

西に隣接する延命寺あたりも防御施設等があったと思われるが、推定に過ぎない。

いずれにしても古い形式の居館城に属するもので、義仲とどの程度の絡みがあったのかは不明だ。

≪古城館≫ (こじょうやかた)
標高:521m 比高:13m (西下道路より) 
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:上田市長瀬
攻城日:2015年5月17日
お勧め度:★★☆☆☆ 
城跡までの所要時間:5分 
駐車場:無し ※集落内の道路は狭いので、路駐厳禁。
見どころ:堀切跡
参考文献:「信濃の山城と館③上田・小県編」(2013年 宮坂武男著 戎光祥出版) 「小縣郡史」など
注意事項:私有地・耕作地なので見学には注意が必要
付近の城跡:市の町砦、陣場砦、芝宮砦、尾野山城など

尾野山城② (4)
対岸の尾野山城からみた古城館の位置。



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Posted on 2015/06/10 Wed. 21:51 [edit]

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