らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

0908

上祖山城 (長野市戸隠上祖山)  

◆山のあなたの空遠く幸い住むと人の云う・・・◆

先週末は連休だったのだが、土曜日は新築祝いにご招待されて昼間から酔い酔いで終わる・・・つかの間の晴れ間だったのに。

日曜日は「午前中が勝負!」とばかりに北信濃方面へ晩秋の攻城予定先を含めた下調べも兼ねて出掛けたのだが、雨が降ったり止んだりでドライブに終わる・・・(汗)

怨み辛みはお天道様に申し上げても仕方ないとしても、山城フリークの我々が思うには、今月のシルバーウィークが11月だったらどんなに楽しいだろうか・・・(笑)

無い物ねだりはそのくらいにして、今回ご案内するのは戸隠紀行第二弾の「上祖山城」(かみそやまじょう)

上祖山城 (1)
城跡から見た上祖山集落。

山のあなた
           カール・ブッセ 上田敏訳

山のあなたの空遠く
「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。
噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸」(さいはひ)住むと人のいふ。

絵心も詩歌のカケラも無い「お城バカ」の小生ではあるが、城跡に立ち、戸隠の集落を見た時に浮かんだ詩である。

甲越戦争により民とともにあった「幸(さいはひ)」はしばらく此の地をさったのであろう。

上祖山城 (2)
自給自足の生活が主体の時代ならば桃源郷であろう。

【立地】

裾花川の右岸の丘陵上の小山に立地している。後背は旧中条村の虫倉山や陣場平、富士ノ塔山などの険しい山嶺が続き、この山を越えるいくつかの峠がある。上祖山から平出を経て陣場平脇を通る地蔵峠を越えると七二会地区(なにあい)になる。また、宮浦を経て岩井堂峠を越えると御山里になり、日下部への道もあったようだ。
上祖山城は、こうした裾花川の谷と土尻川の谷筋を結ぶ峠口に当たり、更に足下の裾花川の谷筋を監視するには絶好の場所に立地している。

上祖山城見取図①
国土地理院1/25000に上書き。手抜き縄張り図ではある・・(笑)

上祖山城 (4)
郭3(25×6)には墓地。ここの入口までは軽自動車の4WDなら登る。

【城主・城歴】

資料等なく全く不明。善光寺平から陣場平脇の地蔵峠を越えて戸隠神社へ詣でる重要な街道の戸隠口の入り口を抑える砦として機能していたのではないだろうか。

上祖山城 (5)
墓地への取付道路により堀切㋑の西側が破壊されてしまったが堀跡は確認出来る。

上祖山城 (7)
郭3から見た南側。耕作地による改変でどこまで城域かは判断が難しい。祠のある南端の丘あたりも怪しいが何とも・・・。

上祖山城 (9)
堀切㋐。堀というよりは壁(へき)という表現が似合うが、下段が綺麗に削平されているので往時の堀は埋められたかもしれない。

【城跡】

裾花川に突き出した尾根先を加工した物見砦で、主要部を石積み付きの土塁で仕切って段差をつけることなく2区画に分けている。何故区分したのか意図が見えない。また、北側に張り出す郭2の西側の縁も石積みを伴う土塁が認められるが城の遺構なのか不明だ。ただし、北側の堀切㋒(横堀)は往時の遺構であろう。

上祖山城 (19)
堀切㋑と郭1の境界には土留めの石積み。

上祖山城 (20)
郭1(15×13)。

上祖山城 (23)
郭2との仕切り土塁には石積みを伴う土塁がある。

上祖山城 (22)
郭2(35×20)。藪が酷くご勘弁を・・。

そう言ってしまうと浪漫もヘッタクレも無くなるのだが、どうも神社を勧進しようとしたような形跡なのである。同行した「ていぴす殿」も違和感を覚えたらしく、石積み付きの土塁は「後究を待つ」として明言を避けたい。

上祖山城 (32)
北斜面の堀切㋒。甲越紛争時に追加普請された可能性が高いと思われる。

上祖山城 (35)
堀切㋒の先は裾花川渓谷に続くのだが、意外と傾斜が緩いようだ。

第二次甲越合戦の和睦条件として川中島の支配権を仕方なく放棄した武田軍は、山岳路の戸隠経由での越後攻めを模索していたという。上祖山城は、在地土豪の見張り砦から甲越紛争における武田の最前線として機能していた時期があったと見て良いと思われる。
が、しかしその運用期間は短命であったようだ。

「幸い」(さいわい)が人々のもとに戻れば、砦も山城も無用の長物に過ぎないのだから・・・・・・・・。


≪上祖山城≫ (かみそやまじょう 上の城の山) 

標高:750m 比高:70m 
築城年代:不明
築城・居住:不明
場所:長野市戸隠上祖山
攻城日:2015年8月29日
お勧め度:★★☆☆☆
城跡までの所要時間:5分
駐車場:墓地手前の空き地または路駐。
見どころ:石積み付き土塁、横堀など
参考文献・書籍:「信濃の山城と館 更埴・長野編」(宮坂武男著 2013年 戎光祥出版)
注意事項:特に無し
付近の城跡:追通の栗田屋敷、追通城、中尾城など
Special Thanks:ていぴす殿

上祖山城 (47)
対岸の追通集落付近よりみた上祖山城。

スポンサーサイト

Posted on 2015/09/08 Tue. 21:50 [edit]

CM: 4
TB: 0

城主からのご挨拶

地域別攻城戦記

諸国在住の皆さまのありがたき進言

もののふ入城者数

在城中の「もののふ」

攻城戦記年表

▲Page top