らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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西ノ宮笹ヶ城 (松本市五常)  

◆会田領の西側を見張る砦◆

会田虚空蔵山城とその周囲の城砦群はかなり広範囲なネットワークになっていて、長野県でも有数の城砦群の一つである。

この地方を治めていた会田海野氏(のちに同族の岩下氏に替わる)は、東信濃を拠点とした名族の滋野一族の出自であり、宗教勢力を背景に中央政権との交流も盛んに行っていたというのだが、その実態は依然として謎のベールに包まれたままである。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (35)
会田地区から見た笹ヶ城と周辺の砦の位置関係。

近年、松本市教育委員会が精力的に発掘調査を毎年行いその成果を報告している。素晴らしい事であり、中世文化遺跡の保護には消極的な長野県にあってはパイオニア的な取り組みであり、その真摯な姿勢には頭が下がります。近隣の自治体の教育委員会も見習って欲しいものである。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (1)
笹ヶ城への登り口は、長野自動車道の北側の側道の突き当りまで車が入るので、そこに車を置いて登るのが良い。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (2)
長野自動車道の擁壁管理用の保守道があるので、その道に沿って登るのが分かり易い。

【立地】

西ノ宮集落の北、長野自動車道の立峠トンネルの西側の入口の西の山に位置する。北側の沢を隔てた五本峠の東には雨戸屋城があり、北西には鍋山城砦も指呼の間にある。登城口は長野自動車道の北側に舗装された側道があり小型乗用車ぐらいまでは入れる。10分ほど保安道を登れが城域になるので難しくはない。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (4)
尾根を東に戻るように登ると擁壁の保安道に突き当たるので、道なりに登ると郭4の三峰社に辿り着く。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (5)
城域の最初となる突起部分に勧進された三峰社は最近新調されたようである。三峰社は狼煙台でよく見かける。

【城主・城歴】

「信府統記」に「西ノ宮山笹城地跡 西ノ宮村より未申(南西)ノ方九町五十間・・・・会田氏ノ持ナリ」とあるが、笹沢城と混同しているようである。東筑摩郡誌では、岩下家家老の山笹丹治の砦とされており、会田岩下氏の配下の城であったことが伺える。

笹ヶ城(松本市五常) 001
堀切一条に連郭というオーソドックスな縄張であるが、平時は簡素な物見で、戦時は背後の雨戸屋城の駐屯地と考えれば充分だ。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (6)
三峰社の一段上にある郭4。南側の物見場と推定される。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (9)
郭4から郭1に向かう鞍部までは一旦下り坂となりそのあとは急坂の上りとなり郭1に続く。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (11)
急坂を上ると郭1となる。

【城跡】

長野自動車道の開通による改変は逃れたようで、嘗ての大手道も三峰社のある郭4に通じるルートだったことが想定される。主郭は一部土塁が残存しているので、全周していた可能性はある。
郭1と郭3の連結部分の郭2は城域で最大の面積をもつ削平地であるので、部隊の駐屯地であった可能性は高い。堡塁のような郭3とその先の堀切は明らかに北からの侵入を意識しているので、明科方面への警戒であろう。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (13)
郷愁を誘う本郭跡の標柱。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (16)
本郭(15×9)。南東方面に残る土塁の址。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (17)
郭1から見た郭2と郭3.

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (20)
郭3.楕円形でその先に堀切がある。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (19)
郭3からみた主郭方面。郭2は掘立小屋を建てた駐屯地であった可能性が高い。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (22)
期待してはいけない堀切。500年の年月で埋没寸前である。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (23)
北東に続く堀切の先の尾根は鞍部に続くが特に何もない。

先述したとおり、ここは会田領の南を守る平時の物見だと思われる。万が一の際は雨戸屋城経由で国境に兵を送る駐屯地だったかもしれない。
比高はさほど高くないが会田領方面を広く見渡せる。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (24)
虚空蔵山城との連携fが伺える距離である。


【西ノ宮笹ヶ城】 (にしのみやささがじょう 山笹城)

標高:761m 比高:150m (県道より)
築城年代:不明
築城者・居住者:山笹氏?
場所:松本市五常
訪問日:2016年3月27日
お勧め度:★★☆☆☆ 
所要時間:10分 (長野道の側道より)
見どころ:郭、景色
周辺の城跡:鍋山城砦、雨戸屋城、笹沢城、会田虚空蔵山城砦群
注意事項:特になし
参考文献:「信濃をめぐる境目の山城と館④松本・塩尻・筑摩編」(宮坂武男著 2013年 戎光祥出版)

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (33)
対岸に見える笹沢城。

西ノ宮笹ヶ城(松本市会田) (36)
会田虚空蔵山城の南方面を守る三位一体の砦群。

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Posted on 2016/04/09 Sat. 06:16 [edit]

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