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らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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朝日城 (長野市七二会)  

◆葛山城の狼煙台と伝わる物見砦◆

実は先週末の8日(日)に下諏訪町の「下の城」「上の城」の探索に出掛けて、途中まで登ったのだが気分が乗らないので止めた。

せっかく時間と燃料を使ったのだから、多少無理しても・・・とは思ったが、気乗りしないときはケガするリスクも高いし、心から楽しめないのであれば山城に対しても失礼であろう・・・(笑)

そんな事はさておき、今回ご案内するのは、信濃の山城研究の第一人者(もはや神の称号で良いと思うが)の宮坂武男氏がスルーした「朝日城」である。(宮坂武男氏の著書「信濃の山城と館②」に掲載されていない)

朝日城 (1)
地蔵峠から林道坪根線を東へ進むと坪根峠の分岐点に駐車場があるので、ここが登り口になる。

【立地】

先日ご紹介した葭雰神社物見から尾根伝いに東に600m進んだ場所で、坪根峠の手前の尾根の上にある。峠を挟んだ東の尾根先には小野平城がある。登り口は坪根峠の駐車場から遊歩道がついているのでそのままダラダラ登ったピークの峰の東屋付近が城跡になる。

朝日城 (2)
駐車場から西の尾根に取り付く。

朝日城 (3)
登山道の脇には石仏が置かれているので、林道の開通前は生活道路として朝日城~葭雰神社~陣場平山~地蔵峠と続いていたのだろう。

朝日城 (4)
ダラダラと結構しんどい登りですw


【城主・城歴】

正確に調査はしていないが、長野市誌に「朝日城」として地元に伝承があるらしい。長野市の「七二会 陣場平トレッキングコース」のマップにはポイント地点として葭雰神社の横に朝日城が記され「甲越合戦の際、葛山城とつながり、のろしを挙げる見張の出城であったいわれている」と解説がある。

朝日城見取図②

IMG_3513.jpg
途中二ヶ所ほどの削平地を通り抜けた先のピークが本郭で、現在は朽ち果てそうな東屋が建つ。

朝日城 (6)
東屋のある郭1は全体を緩い土塁が周回しているようだが、藪が酷く詳細が確認できていない。

【城跡】

これぞ「狼煙台」の原型であり、敵の襲撃はあまり想定していないであろう単純な縄張。辛うじて大手(西側か?)に堀切らしき跡地が残っているので、案外と雄型の単郭だった可能性は否定できない。
山間部の生活道路と神社までの参道が開いた為に、当時の縄張りが改変されたと推定される。
峠を挟んだ東側に小野平城が築かれているので、緊急時は朝日城から小野平城に移動し備えたと思われる。

朝日城 (8)
郭1の西側入口に堀切跡が確認出来る。

朝日城 (11)
一段下に降りて撮影するとこんな感じ。

朝日城 (12)
東屋は昭和50年の建設らしいので築41年の物件。そろそろ補強しないとヤバイかも・・・(汗)

朝日城 (10)
葭雰神社へ続く尾根筋は比較的緩やか。

はて、宮坂武男氏がこの朝日城を認定しなかった理由はなんだろうか。

砦跡かどうかハッキリしない葭雰神社を認定し、隣接する朝日城は無視して小野平城は認定している。逆に長野市のトレッキングガイドでは小野平城は登場しない。

もっとも標高1200mに築かれた狼煙台の運用は天候に左右されるので存在意義が問われるケースが多く、認定を見送った可能性はある。
ここから葛山城まで約6.3km。朝日城は富士ノ塔砦と共に葛山城に籠城した小田切氏が自分の領地に対して危惧を知らせるための手段だと考えるが、どうであろうか。

IMG_3509.jpg
トレッキングコースなので道標はかなりあるが、犀川から歩いて登る猛者など皆無に等しい現代である・・(笑)

≪朝日城≫ (あさひじょう)

標高:1200m 比高:650m (小市の国道より)
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:長野市七二会坪根
攻城日:2015年9月23日
お勧め度:★★☆☆☆ 
城跡までの所要時間:15分(坪根駐車場より) 
駐車場:有り
見どころ:堀切跡、土塁
参考文献:「信濃の山城と館②更埴・長野編」(2013年 宮坂武男著 戎光祥出版)
注意事項:林道は狭いので走行注意(落石注意)
付近の城跡:葭雰神社、萩野城、小野平城など
その他:この地域の林道や県道はすれ違い困難なので注意しましょう。
参考サイト:北緯36度付近の中世城郭~陣場平山城砦群

朝日城 (21)
坪根林道から見た戸隠方面。

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Posted on 2016/05/15 Sun. 00:48 [edit]

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