らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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葛山城の連続堀切 (長野市鑪葛山)  

◆葛山城の東尾根の連続堀切が笹薮を刈り払って初のお披露目◆

城郭専門用語では、中世城郭の防御構造の種類の一つとして連続する空堀を「畝状阻塞(うねじょうそさい)」というらしい。

「連続空堀」でも「連続畝状(うねじょう)堀切群」でも、呼び名なんぞはどうでもよいと思うのだが、世の中にはその道のプロを自称する方々がおり、一言一句の間違いも赦さないという重箱の隅をつつくような輩も世の中にはいるらしい・・・(汗)。

その狭い了見が、山城入門者にとっては最大の阻害要因であることを自覚している方がどのくらいいるのでしょうか・・?(笑)

専門用語でしか語れぬ排他的な趣味の世界など栄えたためしはないし、滅びるしかないのが定めであろう。

中世の山城探訪がそういう世界観になるのであれば、小生は潔く山城巡りの趣味を捨ててブログも閉鎖しますよ・・・(爆)

葛山城201503 (20)
何度訪問してもその全貌が明らかになることは無いと思われる葛山城。(写真は主郭の説明板)

今回ご案内するのは、善光寺平における甲越紛争(武田VS上杉)において、武田方の旭山城に対峙するべく上杉方が築城した葛山城の東尾根の主要部。

ここの尾根を切り刻んだ7連続の堀切は全国的にも有名なのだが、現地は笹薮が酷くて突入すら出来ない状態であった。
最近、ここの強靭な笹藪が刈り払い機によって刈り取られ、その雄姿を拝めるという情報があり、残雪の城址に挑んだ次第である。

葛尾城縄張図①(宮坂武男氏作成)
宮坂武男氏はこの縄張図を描くために笹薮に突入したのであろうか。小心者の小には無理な相談である・・・。

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2014年4月に撮影した二重堀切㋐(W底堀切)。堀底の土塁上には石祠が祀られている。

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今回(2017年3月12日)に撮影した二重堀切㋐。二年前に比べてかなりスッキリしているのがお分かりだろうか・・。

※甲越紛争時における葛山城と旭山城の城歴は下記の過去記事を参照願います。

旭山城
頼朝山砦

【謎の多い葛山城】

幾度となく調査が実施されている葛山城だが、背丈ほどに生い茂る笹薮に阻れてその全貌の解明は未だに進んでいない。甲越紛争時の上杉方による改修と拡張を指摘する方を多くお見受けするが、果たしてそうであろうか?
当初は在地土豪の簡単な物見砦であったようだが、四方の尾根を含めた山全体がコツコツと手間暇かけて拡張され、上杉によって更に要塞化され一応の完成をしてその後武田による改修が続けられたとみてもよさそうである。

葛山城201503 (18)
主郭の西側の二重堀切。ここの三連の堀切は毎年訪れても藪などほとんど無く快適に観察することが出来る。

【七連の連続堀切に感動】

ここに連続堀切があるのは周知の事実であったが、実際に笹薮に突入して堀切の数を数えて縄張図に記入したのは宮坂武男氏が最初であろうか。笹薮に突入する勇気は余ほどの覚悟がないと無理なのだが、今回は笹薮が刈り払われているので、偉そうに入ってみた・・・(笑)

某TVの「ビフォー・アフター」ではないが、2014年の4月と今回の2017年3月で比較してみましょうか。

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2014年4月に南側より撮影した堀切㋑。突入する意欲も無くなる笹薮。

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2014年4月に南側より撮影した堀切㋑と㋒。

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2014年4月に南側より撮影した堀切㋓。ここに突入するには蛇への対策が必要である・・・(汗)

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2014年4月に南側より撮影した堀切㋔。

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2014年4月に南側より撮影した堀切㋕。藪に突入しない限り北側からの写真など撮れるはずもない・・・。

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2014年4月に南側より撮影した堀切㋖。違いの分かる男でもさっぱり分からん・・・(笑)

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ラストの三連㋖・㋗・㋘。もはやどうでもいい・・・(汗)

ところがどうであろうか。

笹薮を取り払い、雪のコントラストを加えると、ここが殺戮を想定した軍事施設であった記憶が鮮やかに蘇るのである。

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堀の大きさがイマイチ分からないという方の為に「ていぴす」殿に登場願った・・・(笑)

記号も言葉も要らない8連続の堀切を順不同でご覧いただいたのだが、宮坂武男氏の縄張図における堀切㋘と郭4の接続状況が今回明らかになっていたのは特筆すべき事項であろう。

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堀切㋗から見下ろした堀切㋘と郭4。

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郭4から見た南側。

更に感動したのは、笹薮が酷くて絶対に入れなかった郭4に入れた事により、何度来ても絶対に見る事が出来なかった東尾根の堀切㋙と東尾根の竪土塁が拝めた事である。

葛山城201503 (57)
ここの遺構が見れたのは奇跡に近い快挙であろう。

葛山城の全体の遺構については、また筆を改めたいと思いますが、ほとんど見る事の出来ない東尾根の連続堀切についてレポートさせていただきました。

4月中旬までは何とか見れそうなので、見学したい方はお急ぎください・・・。

≪葛山城≫ (かつらやまじょう)

標高:810.6m 比高:411m(裾花川より)
築城年代:不明
築城・居住者:落合氏、上杉氏、武田氏
場所:長野市鑪葛山
攻城日:2014年4月5日、2017年3月12日 
お勧め度:★★★★★ (満点)
城跡までの所要時間:葛山神社より30分 駐車場:無し(神社の先に路肩駐車)
見どころ:W型堀切、8連続堀切、東尾根の竪土塁など
注意事項:8連続堀切の北側は急峻な崖なので転落注意
参考文献:「信濃の山城と館②更埴・長野編 宮坂武男著」
付近の城址:頼朝山砦、旭山城、大峰城、枡形城など
Special Thanks to ていぴす殿、笹薮を執念で刈り取ってくださった方・・感謝感謝!

葛山城201503 (16)
敵対する旭山城は目と鼻の先である。その緊張感にどう耐えてきたのか・・・。





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Posted on 2017/03/21 Tue. 22:53 [edit]

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