らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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加増城 (長野市若穂保科)  

◆郭1個と堀切二条の物見砦の為に、比高310mを駆け登る病的集団◆

ブログでは毎度お馴染みの顔になっているが、我ら信濃先方衆の同盟は今年の7月で5周年を迎える。早いものである・・・。

遭難もせず、お互いの顔に飽きもせず(笑)、ここまで苦楽を共にしてきたが、我々にはもはや難易度Eクラスの辺境の地の物見小屋とか、鬼・猿の名の付く伝説の山城しか残っていない・・・・(汗)

今回ご案内するのは、片道45分、比高310m、登山道など無く直登するしかなかった「加増城」(かぞうじょう)である。

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対岸の本城である「霜台城」(そうだいじょう)の弾正岩から見た加増城。コスパなど考えたら絶対に登らない場所にある。

【立地】

長野市若穂保科の保科かわの左岸、引沢集落の南部の沢中の高いところが加増(かぞう)である。加増の南西の三角点(759.1m)のある山に加増城がある。この山は保基谷だけ(1529.1m)から北西へ下った堀切山(1157m)へ続く尾根上にあり、ここから若穂地区はもちろん、善光寺平がよく見通せる。また対岸の北方1.8kmの至近に霜台城があり、眼下の街道は須坂・仁礼方面と、菅平を経て小県及び上州に通じる。

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今回の直登ルート。麓の神社(若宮八幡宮)から祠までは道形もなく、急斜面をひたすら直登するのである。

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標高600m付近の平場にある石祠。屋根が落ちていたので、ていぴす殿と持ち上げて元通りにしておく。ご利益あるかしら(笑)

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石祠のある場所は尾根上に平場が続くので、砦に当直する番兵の小屋掛けがあったかもしれない。

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対岸には霜台城が指呼の間によく見える。

【城主・城歴】

資料がなくはっきりした事はわからないという。地元では川中島合戦の時の物見であったという伝承がある。保科氏の勢力範囲に属する地域であるが、その関係は不明だという。

加増城見取図①
とてもシンプルで機能性のみを追求した砦。この立地条件と高さであればこの装備で十分であろう。

毎回我ら信濃先方衆は一日の行動とスケジュールを検証し反省する。この日のスケジュールのラストとして午後3時から比高300mの砦がふさわしいのか?・・・しかも直登で・・・バイパス長過ぎ・・・どう考えても無謀なのだが、行かぬ後悔よりは突撃あるのみ(笑)

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おお、ここであったか・・・・。

石祠から更に25分、果てしなく長い尾根を歩き続けた我々は息絶え絶えになりながら砦跡に遭遇したのである。

【城跡】

平場の尾根の先端に、前後に堀切を穿って守られた13×9の主郭がある。低い土塁が郭を全周していて南の土塁上に三角点がある。

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堀切㋐(上巾9m)。どんなにヘロヘロになろうと、城域に入るとゾンビのように生き返るのである・・(笑)

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堀切㋐と主郭の接続部分には土留めの石積みが見られる。細部の観察を怠ってはならないという我々の無言の掟である。

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主郭(13×9)。周回する土塁もかなり低い。

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南側の土塁上の三等三角点。

主郭の西側の一段下には腰曲輪があり、南の堀に沿って土塁があり、部分的に石積みが見られ、北端に井戸跡と思われる石組がある。
堀切㋑の後ろに続く尾根は平地が50mほど続くが、縄張とは思えない。

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主郭下の腰曲輪(23×5)

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井戸跡の石組み。かなり崩落が進み原形を留めていない。

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堀切㋑(上巾10m)

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西斜面に落ちる長大な堀切㋑。どんな小さな砦でも、手抜きしないこの姿勢が大切です。

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堀切㋑より南の尾根の平場。特にこれといった防御システムは発見出来なかった。

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平場が終わると再び堀切山へ向けた険しい尾根道が続いている。

以上、観察してきた通り、単純な作りであるものの、堀は長大で立派である。伝承のように詰め城というよりは物見、あるいは烽火台といった類に属するものであろう。
もちろん、対岸の霜台城の物見という考え方が自然であり、保科前の山砦と共に保科氏の領地の監視砦であったと思われる。

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ていぴす殿も必死こいて本郭の調査をしておりますw

我々のこうした常道を外れる(?)探求心が、「彼らは、気がふれているのではないのか?」と思われ、ご自分の立ち位置を確認する行動をされる方を時々お見受けします。

大丈夫ですよ、貴方も我らの心境まであと一歩ですから・・・・きっと頼もしきお仲間に入れます・・・・・(笑)

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主郭から見下ろした堀切㋐。

≪加増城≫ (かぞうじょう 加増山城)

標高:759.1m 比高:310m(若宮八幡宮社より)
築城年代:不明
城主;不明
場所:長野市若穂保科
攻城日:2017年4月16日
お勧め度:★★★★☆
城跡までの所要時間:45分~60分
見どころ:二条の堀切、主郭
注意事項:道が無く神社~石祠までは直登なのでしっかりとした装備でトライしよう。
駐車場:無し、神社脇の道路に寄せて路駐。
参考文献:「信濃の山城と館②更埴・長野編」(宮坂武男著 2013年 戎光祥出版)
付近の城址:霜台城、保科前の山砦、和田東山城、春山城など
Special Thanks to ていぴす殿

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各個撃破とはいえ、この砦一つのために比高310mは常人の常識を逸脱しているか・・・(笑)







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Posted on 2017/05/01 Mon. 22:47 [edit]

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