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らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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横谷入城 (松本市浅間温泉)  

◆浅間地区を領有した赤沢氏の物見砦か◆

湯治場として松本藩のお殿様も通ったという浅間温泉。その歴史は古く、天武天皇に仕えた豪族の古墳も周辺にみられるという。

さて、今回ご案内するのは、その浅間温泉を見下ろす尾根上に築かれた横谷入城(よこやいりじょう)。前回ご紹介した茶臼山城とともに浅間地区を見張る赤沢氏の砦と伝わる砦である。

横谷入城 (1)
登り口のふるさと公園駐車場から横谷入城を見上がる。ピークを二つほど越えた奥側になる。

【立地】

浅間温泉の東方、大正山(1050m)から南東に延びる尾根先の大音寺山(887m)に築かれている。以前は西側の上浅間配水池の沢沿いの道を登るルートだけだったようだが、平成18年に尾根の東側からの遊歩道が整備され、二年前には「浅間温泉ふるさと公園」として西側の御殿山も含めて大規模に整備されたので迷わず城跡まで辿り着ける。
しかし遊歩道の整備に伴い城跡の遺構がかなり崩されてしまい、宮坂武男氏が踏査した平成8年の縄張図とはかなり違ってしまっている。

横谷入城 (3)
ふるさとは公園宿泊客のトレッキング用の遊歩道整備が目的のようだが、効果はどうなんだろうか。

横谷入城 (30)
つづら折れの遊歩道を10分ほど登ると最初のピーク。ここは平場で堀切があるらしいのだが・・・。

【城主・城歴】

「長野県町村誌」では赤沢氏の持ち城で部下に守らせたとあり、「松本市史第二巻」にも「赤沢氏の持城で稲倉城の要砦で物見城とも呼び、天文年間には浅間孫太郎が守っていたが武田氏により落城、破却されたとある。

横谷入城見取図①
宮坂武男氏の縄張図(平成8年)によれば、良好な遺構が残っていたはずなのだが・・・。

赤沢氏の所領は、女鳥羽川上流の稲倉(しなぐら)を中心とした集落と浅間峠を越えた女鳥羽川下流の浅間周辺なので、浅間峠の街道を監視する砦としてはもちろん、烽火台としての機能も併せ持っていたのかもしれない。

横谷入城 (29)
必死に探した堀切㋖。が、土手付きの痕跡すら分からない状態。

横谷入城 (8)
城の中枢部に入る手前の削平地は「アルプス展望台」として新たに標柱とベンチ数台が設置されていた。

横谷入城 (6)
物見としては申し分ないロケーション。

横谷入城 (7)
遠く塩尻市方面まで見渡せる。

【城跡】

頂部に単郭を置き、前後を数条の堀切で防御した簡単な縄張だが、主郭の東側には土留めの石積が確認出来る。
西の沢筋の遊歩道には「空堀」の表示があるが、これは伐木の作業道を兼ねた山道のようであり、竪堀ではなさそうである。
遊歩道の整備に伴い城跡は大規模な伐木が行われた結果、雨水や風雨が地表を削り堀切は崩れてしまったようである。

横谷入城 (9)
城址に立つ新しい標柱。

横谷入城 (10)
22×13の主郭。削平されているだけで土塁で囲まれた痕跡はない。

横谷入城 (25)
主郭の東側には土留めの石積みが散見出来るが西側の斜面には無かった。

宮坂武男氏の縄張図によれば主郭の西側には三条の堀切があったようだが、現在では崩落したか整備過程による改変でその姿がハッキリしない。堀切㋒はほぼ壊滅状態である。

横谷入城 (28)
かすかな堀形を辿るとこんな感じに二重堀切になっていたと思われる。

同じように主郭の東側の鞍部へかけての尾根にも堀切が二条あるがライン、遊歩道整備でエッジラインが欠け、北へ下る竪堀㋑の堀底には切断された倒木が積まれて埋もれていて肉眼での確認も困難な状況に追い込まれている。

横谷入城 (13)
強引に補助線を入れてみたが、チョッと厳しい・・・(汗)

横谷入城 (17)
西斜面から竪堀となっている堀切㋑の僅かな痕跡を探してみた。

横谷入城 (21)
堀切㋐も堀底が歩道となり一部破壊されたようだ。

城域の東側の鞍部は平地になっているので小屋掛けが出来そうだ。現在「堀切」と表示された標柱が立つ場所は一見すると確かに竪堀に見えるが元々は古道で沢筋の作業道として拡幅されたものであろう。だが、途中に水源があることからこの砦の登城口だった可能性もある。

横谷入城 (19)
鞍部に接続する堀切遊歩道。平成18年度の整備事業の際に空堀跡の看板が立てられたが、検証する必要はあると思われる。

横谷入城 (14)
鞍部と城域を遮断していれば堀切と考えられるが、乗り越しにもならずに大正山方面に続いている。

武田信玄の中信濃侵攻の際に、この付近の土豪は悉く小笠原を離反し武田の軍門に降っている。赤沢氏もその一人であり、武田統治時代には既に横谷入城はその役目を終えて使われなくなっていたと思われる。
また、ふるさと公園の案内図には「横谷城」という表示があるが特に遺構は確認できないという。


≪横谷入城≫ (よこやいりじょう)

標高:887mm 比高:160m (ふるさと公園駐車場より)
築城年代:不明
築城・居住者:赤沢氏
場所:松本市浅間温泉
攻城日:2018年3月17日
お勧め度:★★☆☆☆
城跡までの所要時間:- 駐車場:有り(無料)
見どころ:アルプス展望台からの眺望、石積み
注意事項:特にないが、温泉街の道路は狭いので通行に注意。
参考資料:「信濃の山城と館④松本・塩尻・筑摩編」(2013年 宮坂武男著 戎光祥出版)
付近の城址:茶臼山城、伊深城、早落城など

横谷入城 (32)
浅間温泉の西側の女鳥羽川沿いから見た横谷入城遠景。

Posted on 2018/03/25 Sun. 19:12 [edit]

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