らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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根羽城 (上田市腰越 リテイク)  

◆2013年の山城納めは「Powered by Sanada」の小粋な砦◆

今年はカレンダーの関係で年末年始の休みが一週間もある。

そんなに休みがあるとデブ化するし何よりも危惧しているのが1月6日に出勤出来るのか・・・この事である(汗)

一昨日は昼飯を食べ過ぎたので、ダイエットと2013年の山城納めを兼ねて昨日自宅近くの須々貴城に登った。

須々貴城2013 (2)
507段の階段=比高150m。麓からは頂上が絶対に見えないので「天国への階段」と密かに命名している(笑)

実はこの城、小生の住む地元では「天白山」(てんぱくさん)と呼ばれ頂上には須々貴神社の社殿が鎮座している。
石段の老朽化が酷く危険な状態だったので、昨年上田市の「ふるさと活性化事業」の補助金制度を利用して階段を補修し手すりを新設し、東屋を建てたのだ。(もちろん住民である小生もお手伝いしましたよ!)

須々貴城2013 (15)
100段毎のカウンターが必要なのかは賛否両論だ。(新設された東屋と右奥に見えるのが須々貴神社社殿)

須々貴城2013 (91)
千曲川と合流する浦野川の手前から見た須々貴城の全景でお別れです・・・。


「えっ?タイトルの根羽城はどうしたの??」

年の瀬も押し迫った12月30日に、「ささっと登れて」「インパクトがあって」「過去に真面目(ちゃんと)に解説していない」「それなりに遺構が楽しめる」・・・そんな山城・・・あるのかしら・・

「そうだ、根羽城へ行こう!!」(笑)


【根羽城】

三年前に駆け出しの山城初心者が訳も分からずに鳥屋城とセットで攻めた砦である。

当時の記事も今読み返すと恥ずかしさ満載・・(笑)よくそんな事が書けたものだと感心する・・・(爆)

根羽城2013(上田市) 122

根羽城2013(上田市) 118
鞍部は小屋坂峠。西へ進めば鳥屋城(とやじょう)の搦め手。

根羽城2013(上田市) 116
峠から尾根伝いに入る。

●立地

三才山峠から鹿教湯温泉を経由する内村川と大門峠に至る依田窪を流れる依田川の合流する手前2kmの崖淵台地の岩山の上にあり、南西1kmには鳥屋城が聳えて、尾根伝いの1.3km先には丸子城がある。
二つの主要街道を繋ぐ小屋坂峠の北西に接続し監視の役割を果たしていたのであろう。

根羽城見取図①(上田市)
1/2500の都市計画図を不要とするYahoo地図の進化には感謝したい。(powered by Zenrin)

小屋坂峠の鞍部に立つと小屋掛け出来そうな広い凹地が現れる。

戦時には鳥屋城又は根羽城の兵士の駐屯地だった可能性がある。

根羽城2013(上田市) 005
二百人ぐらいは収容出来そうな窪み。

根羽城2013(上田市) 007
宮坂氏が屏風状と記載している峠からの取り付け道。

●城歴

小県郡史(大正十一年)には「根場砦址(丸子)」として以下の記載がある。

根場址は一に小屋城、高松城とも呼ばる。砦は丸子町腰越區字根場の山上にあり。郭は東西七間、南北三間許にして、其東と南には土手を存す。南に當り腰郭二箇所あり。里傳に烏帽子城(鳥屋城)の支砦にして物見場址ならんといふ。此砦は烏帽子城より北走せる山脈を横切る小屋坂峠の北方にあり。此通路を阻止し、且つ此城の一砦たる或は確説なるべし。

根羽城2013(上田市) 009
最初に尾根上に現れる上巾5mの堀切㋐。

隣接する鳥屋城の搦め手を守る支城という解釈には異存はない。
小屋坂峠を押える任務もあったと思われる。

根羽城2013(上田市) 014
堀切㋑。

根羽城2013(上田市) 018
いわゆる「一騎駈け」と呼ばれる細尾根。攻城兵には一列縦隊は「死の狭間」を意味するのだ。

根羽城2013(上田市) 023
城域主要部手前のS字クランク(土橋)

この砦の存在価値が認識されたのは、武田滅亡後の天正壬午の乱における真田昌幸の軍事政策であろう。

依田窪南部一帯で旧敵武田勢力に属する真田の支配に抵抗する丸子氏及び旧大井氏系列の土豪を、徳川家康の名を騙り従属させると、大門峠、和田峠からの敵に備えた。

根羽城2013(上田市) 028
攻城軍は立ちはだかる岩山で強制的に迂回を強いられる。

根羽城2013(上田市) 031
郭4の入口には細長い石柱をごぼう積みにした石積みがある。

根羽城2013(上田市) 035
丸子城と同じ技法の石積み。

そう、根羽城の最終防御構造は、来るべき対徳川軍との開戦に備えて丸子城の改修を指揮した真田昌幸とみても間違っていないような気がする。

根羽城2013(上田市) 037
主郭手前の郭2。

根羽城2013(上田市) 053
東端から見た郭1(25×9)コの字型の土塁で囲まれている。

この城の縄張りの特徴は主郭背後の堀切の処理で、北斜面への二重堀としてしているが、㋔を貫通させず郭3を造成し搦め手及び北尾根からの侵入を迎撃出来るように工夫している。

根羽城2013(上田市) 054
郭1の背後から見下ろすとこんな感じ。(ってか落書きヒド過ぎ)

根羽城2013(上田市) 056
尾根を貫通する堀切㋓

根羽城2013(上田市) 062
北斜面のみに落とされた堀切㋔

天正壬午の乱では信濃の小豪族として大勢力を翻弄し、「小信玄」と恐れられたその軍略に家康は煮え湯を飲まされた・・・真田昌幸はどさくさに紛れて佐久方面を奪取する予定だったという。

根羽城2013(上田市) 072
北尾根には厳重な二本の堀切で対処している

根羽城2013(上田市) 083
東の尾根からみた主郭方面と二条の堀切。かなりの急こう配である。

さて、Powered by Sanadaの根羽城は如何だったでしょうか?

鳥屋城の冴えない物見砦も、真田ブランドが手を加えると難攻不落の要塞になる・・・(笑)

比高差も気にせず気軽に訪問できて中世軍事構築物を満喫するにはお勧めの砦ですよ。

≪根羽城≫ (ねばじょう 小屋城・高松城)

標高:695m 比高:130m  
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:上田市腰越
攻城日:2013年12月30日 
お勧め度:★★★★☆
城跡までの所要時間:15分 駐車場:小屋坂トンネル手前の路側帯
見どころ:堀切、土塁、切岸、石積み
注意事項:痩せ尾根なので転落注意。
参考文献:「信濃の山城と館③上田・小県編 宮坂武男著」
付近の城址:鳥屋城、鳥羽城、丸子城、小山城、中山城など

では2013年最後に根羽城からの風景でお別れです。

今年1年間ご愛読・ご閲覧ありがとうございました。皆さま良い年をお迎え下さいませ。

根羽城2013(上田市) 105
内村川方面。この街道は鹿教湯温泉、三才山峠を越えて松本方面へ続く街道。

根羽城2013(上田市) 040
依田窪方面。通称:大門街道。武田信玄が幾度となく諏訪から大門峠を越えてこの街道を進軍してきた。

根羽城2013(上田市) 093
烏帽子岳と丸子市街地・東御市方面

根羽城2013(上田市) 113
首切城という有り難くない異名を持つ鳥屋城(とやじょう)。信玄も登ったと高白斉記は伝えている。

根羽城2013(上田市) 125
依田川から見た根羽城遠景。
















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Posted on 2013/12/31 Tue. 09:42 [edit]

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コメント

それにしても趣味の世界、頑張っていますね。
あちこち歩き回り、熊と闘い、ブログにまとめ上げる。
継続する気力がすごいと思います。

私は歴史に疎いので内容には付いていけませんが、時々こっそり「無事だな」と確認に来ています。

今年に感謝し、また良い年を迎えましょう。

WILL #lWCgquM2 | URL | 2013/12/31 13:20 * edit *

Re: WILL 様へ

生存確認ありがとうございます(笑)

案の定エレキとアンプはアンプラグドとなり1年間が経過しました・・(汗)
貴殿の音楽に賭ける情熱と同じぐらいに熊さんを追い求めて山中を徘徊しておりますが・・(爆)

やっぱ一番怖いのは熊じゃなくて人間だということを最近知りました。
鉄砲職人はマジでヤバいし、絶対人の入らない山で人間に出逢う恐怖は想像を絶するものがありました。

お互い来年も良い年でありますように!

らんまる #- | URL | 2013/12/31 13:41 * edit *

12月30日にねえ・・

普通、12月30日には城には行かんですね。
須々木城までの噂の石段、凄いですね。500段、比高150mですか。
普通に登ってもしんどそうですね。
いっそう、兎飛びで?

根羽城、南面の崖を直登して死にそうになった苦い思い出が・・
こういう尾根城は尾根筋から攻めるもんですね。
この城も昌幸おやじの嫌がらせが詰まっていますね。
「徳川のたわけどもめ!」とほくそ笑む姿が浮かびます。

1年間、お世話さまでした。
ご無事で何より。
来年も「御安全に!」
よいお年を。

あおれんじゃあ #- | URL | 2013/12/31 17:34 * edit *

こんばんは。

らんまるさまのブログを知り、世界が広がりました。
先日、佐久穂町に行く途中、あの山は〇〇城跡かな?なんて考えながら走ってました。
ただ歩くだけでは決して分からない、未知の世界ですね。
奥の深い世界ですねぇ。

どうも有難うございました。
来年も宜しくお願い致しました。

万見仙千代 #- | URL | 2013/12/31 22:08 * edit *

Re:あおれんじゃあ様へ

さすがに山城二年参りはご法度かと・・(汗)
須々貴城から毎度眺める信玄さんが上田原合戦で本陣を置いた倉升(くらます)方面は絶景です。
村上義清さんの指令所ならではの緊迫感が感じられますネ。

信玄に挑み勝てなかった家康さん、小信玄と呼ばれた昌幸にも勝てなかった。
歴史に「if」は無いのだけれど、勝頼さんが我慢して真田昌幸の岩櫃城で捲土重来を誓ったら甲州征伐は違う展開になったんでしょうか?

来年はまた師匠と中世軍事構築物の談義をしながら、信濃の山城をご案内出来ればと思っています。
色々と難儀な年だったようですが、来年は良い年をお迎え下さいませ。

らんまる #- | URL | 2013/12/31 22:51 * edit *

Re:万見仙千代様へ

脇見運転は危険なので運転に集中して下さい(笑)

世の男性は「花の名」は覚えられなくとも「女性の名」は覚えられるようです・・(汗)

年齢を重ねると人生の後半戦に都合の悪い「女性の名」は忘れられるようになり、小生に至っては代わりに城の名が記憶にインプットされるようです・・・(爆)

中世城郭ヲタクになってしまうと、お城の初心者の方の意見は大変貴重なものでございます。
「もう、あの頃の(駆け出しの頃の)自分には戻れない」 このことなんです。

2014年も貴重なご意見番として参戦をお願いします・・・(笑)

らんまる #- | URL | 2013/12/31 23:07 * edit *

はじめまして

こんにちは。
ちょいちょいのぞかせて頂いております。
私も市内に在住していおり、里山および山城を攻めております。
らんまる様のように知識はなく、
ただただ目に入る山へ出かけては自己満足しております。

須々貴城は以前、川の駅へ駐車しトンネル下の道をくぐったところから登ったことはあります。帰りは須々貴神社の天国の階段(笑)を下りて川の駅へ戻るという周回コースです。

根羽城というのですね、初めて知りました。
ここは丸子城からの尾根続きでも行けるのでしょうか?
首切城も根羽城の尾根続きであればセットで登れますね!
依田窪プールから見えるあの山はいつか制覇したいと考えていたところです(笑

勝手なことを言って申し訳ありませんが、
鳥羽城の駐車地などもご教授頂ければ幸いです。

宜しくお願いします。

ハンチ #- | URL | 2014/01/15 10:54 * edit *

Re:ハンチ様へ

このような「むさ苦しいブログ」によくぞお出掛け頂き恐縮でございます・・・(汗)
何の御利益も無き中世の軍事構築物が趣味とは奇遇でございますなあー(笑)
今後とも御贔屓にお願い致しますw

さて、お尋ねの件ですが、以下御参考までに。

1.丸子城から根羽城は行けるのか?
尾根続きなので可能らしいのですが、丸子城側からのルートは危険防止のための侵入禁止の柵があります。
乗り越えるのは問題ありませんが、途中が結構大変らしいのでお勧め出来ません。

2.鳥屋城へのルート
小屋坂トンネルからの搦め手ルートはかなりハードです。武石村からの大手道は保存会の方が毎年整備されていますので安心して登れるのでこちらがお勧めですよ。小生の縄張り図が途中何ヶ所か案内板として表示されてます。

3.鳥羽城
腰越集落に入り観音鳥羽堂の裏から尾根伝いに道があります。(観音堂周辺も居館跡です)但し集落の道路はかなり狭いので路駐は厳禁。腰越集落の集会場の駐車場か隣にある龍福寺の駐車場が広いのでそこに置いて歩いて行くのが良いでしょう。
城域手前は険しい岩山なので滑落の危険が伴い、冬の積雪時や凍結寺は絶対に避けて下さい。

武運長久を祈っております。
登城ルートの整備されていない山城は危険と隣り合わせですので、それなりの装備で臨む事をお勧めします。

らんまる #- | URL | 2014/01/15 21:15 * edit *

らんまる様

どこの馬の骨とも分からない者へ丁寧にご説明頂き誠に有難うございます。
大変、本当に大変参考になりました。

鳥屋城、武石側に道があったのですね。
コンビニから入ってカーブのあたりで駐車地を探してみます。
鳥屋城~根羽城~トンネルから下り鳥屋城へ周回 が良さそうですね。

鳥羽城もらんまる様の記録を拝見しました。
私、基本的に冬山を好んでおりまして、装備は一式所有しております。
自己責任の上、玉砕覚悟で挑んでみたいと思います。

恐らくは雪が解けてから・・・ですが(笑



これからも城攻めの前に質問攻めになるかもしれませんが、
お手柔らかにお願い致します。


ハンチ #- | URL | 2014/01/17 13:03 * edit *

Re:ハンチ様へ

いえいえ、中世軍事構築物ヲタクに悪い人はいません(笑)

鳥屋城へは鳥屋集落から城の西側の沢伝いに林道が入っているので四駆の軽自動車なら大手道手前まで行けます。途中フェンスがあるので開けたら閉めましょう。普通車でもフェンス付近に路駐して歩いて20分ぐらい。
搦め手よりは楽に登れます。ついでに西側の鳥屋山砦も10分くらいで登れる小山なのでセットでお勧めです。
根羽城と鳥屋城の大手口は結構離れているのでそれぞれ単独で登るのが体力的にも楽ですよ。

私の登った場所でしたらいくらでもお答えしますので、遠慮なくお尋ね下さい。
メールでもOKですよ。
galm2fox2@yahoo.co.jp

らんまる #- | URL | 2014/01/17 17:58 * edit *
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