らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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ねぶた城 (佐久市香坂)  

◆集落への侵入者を見守る砦◆

時々、割と低い丘のような場所に築かれた小さな砦を見かける。
信州の山城はどうしても烽火台と関連付けられてしまうのだが、連携する砦が近くにない場合がある。

閼伽流山城(あかるさんじょう)の西の小さな尾根の上にあるこの砦もそんな砦の一つで、閼伽流山城からも見えない。
恐らく香坂(こうさか)の東地(ひがしち)集落への出入りを監視した村民による物見なのであろう。

ねぶた城 (39)
香坂ダムより見た「ねぶた城」と東地集落。

【立地】

上信越自動車道を通行された方は「八風山トンネル」(はっぷうさん)と言う名に聞き覚えがあると思う。群馬と長野の県境のトンネルで、その八風山を源流とする香坂川沿いの谷には東地、西地という二つ集落(現在の佐久市香坂地区)がある。その東地集落にある香坂ダムの北側の尾根の上に位置し、往時はここから矢川峠を越え上州へ向かう間道があったという。
南西1.6kmには志賀城、西1.2kmの山頂には閼伽流山城がある。

ねぶた城 (1)
城へは、尾根先の道路脇から入り墓地を通過して登るので迷う事はない。

ねぶた城縄張図①

【城主・城歴】

全く不明で、烽火台とも伝わるが冒頭で述べた通りこの場所から連携出来る城は見当たらない。
閼伽流山城の香坂氏との関連も考えられるが、集落の物見として利用されたのであろうか。

ねぶた城 (3)
堀形のみ残る㋐。両サイドは埋まってしまったようだ。

ねぶた城 (6)
主郭手前の段郭には城根神社の祠が立つ。

ねぶた城 (8)
主郭の切岸。人工的な手が加えられているのが分かる。

ねぶた城 (28)
主郭は楕円形(24×12)。中央部には二段の段差がある。

「ねぶた」とは地名で、恐らく「ねぶたい」を語源としているかもしれない。「寝ず見」と同じように「眠いのを我慢して監視した」という意味であろうか。平穏な秘境の集落も自衛しなければならない緊張感が押し寄せ、村人が総出で見よう見まねで作った砦だろう。

ねぶた城 (26)
主郭背後の堀切㋑。(上巾5m)「せーのっ!」で飛び越せる可愛さである(わらい)

ねぶた城 (19)
最終の堀切㋒を見下ろす。この奥は上信越自動車道で尾根が分断されている。

ねぶた城 (24)
小さくても立派な堀切㋒。城の東側の作業道と繋がっており、現在は道になっている。

ねぶた城 (27)
城跡から閼伽流山城方面を見るが、見えない。連絡は不可能である。

取るに足らない小さな砦ですが、村人が集落防衛の為に一生懸命築いたのでしょう。
メジャー級な城郭の記事よりも3Aクラスの物見の記事がお似合いの小生(笑)
労働者階級のヒーローになれるかしら・・・(なんのこっちゃ・・爆)

ねぶた城 (29)
主郭には段差がつけられている。掘立小屋でもあったのかしら?

ねぶた城 (2)
集落への街道を見る。

≪ねぶた城≫ (ねぶたじょう)

標高:898.8m 比高:71m  
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:佐久市香坂東地
攻城日:2014年10月25日 
お勧め度:★★☆☆☆
城跡までの所要時間:10分 駐車場:無し、路駐
見どころ:堀切
注意事項:特に無し
参考文献:「信濃の山城と館①佐久編 宮坂武男著」
付近の城址:閼伽流山城、高棚城、翼城、志賀城、笠原城など

ねぶた城 (34)
街道から見上げた「ねぶた城」

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Posted on 2014/11/03 Mon. 09:58 [edit]

CM: 4
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コメント

こんばんは

佐久市ではないですか。
でも香坂は行ったことがないんです。
安原の先になるんですね。
群馬県境が近づいて来ると、何となく道が険しくて怖そうという感じがするんですよ。
香坂までなら、そんなことはないでしょうか。

万見仙千代 #YR4Ixzf2 | URL | 2014/11/03 21:50 * edit *

Re: 万見仙千代様へ

月9の「信長協奏曲(コンチェルト)」を毎週欠かさず見てイチイチ感動しております(笑)
いつしかテレビ嫌いになった小生には久々のヒット作かと。

どーしても南北朝時代の古城である閼伽流山城に行きたくて、そのついでに寄ってみました。
閼伽流山城の麓になる天台宗閼伽流山明泉寺までは普通車でも余裕で行けますし、風光明美な香坂ダムだって問題なく行けますよ。
横根(平尾)も香坂も佐久平では戦乱を免れた数少ない集落でしょう。登らずとも岩壁剥き出しの閼伽流山を包み込む紅葉を見れば信州の秋を感じること請け負いでございます。

らんまる #- | URL | 2014/11/03 22:14 * edit *

素晴らしい砦

らんまるさま、お疲れ様です。
こちらの「ねぶた砦」、小生は初見であります。
閼伽流山城の麓、香坂村は、かの高坂弾正の故郷でしたでしょうか?
この砦にも、奥深い歴史を感じざるを得ないですね。
破壊せずに遺してくれた地権者に感謝です。
ところで、藤木久志先生の本を読んでいたら、戦国の村人は、その財産を守るために穴を掘ってそれを隠したらしいです。
我々が、雨井戸を貯める穴か?などと言っている山城の窪地は、かつての村人の”金庫”だったのかも知れないのかな?と思ったりもしています。

まさはれ #- | URL | 2014/11/04 21:11 * edit *

Re: まさはれ様へ

香坂氏は信州新町の牧ノ島(牧城)へ牧監として移住した一族と、そこから派生して伊那の大河原城へ行き南朝方の宗良親王とともに各地を転戦した香坂高宗が有名ですね。牧ノ島の香坂氏は、牧之島城の築城が始まると松代に替え地を与えられますが、甲越合戦で上杉への内通を疑われて誅され、娘婿の春日弾正虎綱が跡を継ぎました。
そんな事を考えながら鄙びた集落を歩くのも信州ならではの楽しみ方です。

仰せの通り、天水溜めとか云われる穴は貯蔵施設だったのかもしれませんね。中には炭焼き窯の址もあったりして謎が深まります(笑)

らんまる #- | URL | 2014/11/05 07:20 * edit *
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