らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

1207

内山古城 (佐久市内山)  

◆精度の高すぎる縄張図におけるトラップとは◆

戦国の城巡りの楽しさは、縄張図があると倍増する。

縄張図は軍事施設としての城の図面であり、郭、堀、切岸、土塁などの防御パーツの位置が地形図に上書きされた平面図に記されたものである。

戦国時代、最高の軍事機密であるが故に築城時の設計図は焼却され、築城に駆り出された人夫の中には、中枢部の工事に関わったものは口封じで人柱にされた者もいたのかもしれないし、人質を出させて機密の漏えいを防いだのかもしれない。

宮坂武男氏作成 証城縄張図
小生が参照する信濃の山城の縄張図は、宮坂武男氏の作図を常に参照している。(千曲市の証城)

なので、全国に三万~五万ぐらい築城されたであろう戦国の城の縄張図など伝わるはずも無く、現在残る遺構から表面観察をして最終形の縄張図を作成し再現する作業が必要となる。

縄張図の作成における図面の共通ルールはあっても、五百年経過した遺構の状態における表面観察は人それぞれ千差万別である。ここに縄張図の捉え方の難しさが存在する・・(汗)

が、極端に縄張図が変わるはずはない。細部の捉え方だけであろうか・・。

以下は宮坂武男氏の縄張図を見ずに小生が独自で作成した証城の縄張図です。

恥を忍んで比較の為に掲載してみたg、見方はそうそう変わる者では無いことがお分かりいただけるでしょうか。

らんまる証城縄張図①
2012年5月に作図した恥ずかしい縄張図・・・モロ素人って感じ・・(笑)

今回ご案内するのは、中世城郭研究の先駆者である余湖さんが、宮坂武男氏の縄張図に期待し過ぎてしまい、さぞかしご立腹だったという内山古城(うちやまふるじょう)。

内山古城見取図①
縄張図における黒い部分が土塁を示している。山の中に高土塁が山盛りの甲賀の城が出現したと勘違いしてもおかしくない縄張図ではありますが・・・(汗)

【立地】

内山峡谷の入口を抑える内山城の尾根伝いに約500m東にあり、奥まった場所にあるため沢や街道筋から直接見る事は出来ない。この城への行き方は、内山城の東尾根を縦走するか、内山集落から内山城の北側の沢(香坂入)沿いを進み、突き当たり手前の北側の小山が城跡である。

内山古城 (4)
内山城から縦走した信濃先方衆は途中で???となって沢に下りて北の小山へ。これが正解でした・・(笑)

内山古城 (6)
城域の南西は整地された窪地で小屋掛け出来そうだ。また住民の緊急避難場所としても使えそうだ。

【城主・城歴】

天文十五年(1546)五月に武田軍の攻撃を受けて降伏した時の内山城(城主:大井貞清)はここだという地元の説もあるようだが、籠城して戦えるような城では無い。内山城の詰め城あるいは逃げ込み城部類であろうか。

内山古城 (13)
掻き上げた土を尾根上にかさ上げしのであろうか。

内山古城 (14)
蟻地獄でも作りたかったのかしら?

【城跡】

余湖さんが縄張図を見て「巨大な土塁」を期待したのは無理からぬ事である(汗)。我々は宮坂縄張図ばかり見て慣れているので、神の少し大げさな誇張表示(デフォルメ)には驚かないのだ・・(笑)

「ああ、なるほど、立派な土塁だよね」(爆)

内山古城 (16)
郭1から撮影した巨大な土塁立派な土塁。結構太いのだが、余湖さんの期待値を下回ったらしい。

自然地形を生かして尾根を加工したらしい。堀切こそ無いが、段郭も数段刻み、切岸を付ける事で防御力を持たせている。が、どうみても籠城出来るシロモノでは無い。

内山古城 (17)
南東の尾根から見た郭1。尾根を削って窪地にしたものだ。

内山古城 (19)
北西の尾根沿いに下って行く土塁。

防御の指向性は北なので、志賀川の沢からの敵襲に備えたものであろうか。郭3から北の尾根に向かえば五本松城に繋がるので五本松城との連携も考えられる。

内山古城 (20)
尾根の西側斜面の段郭。

郭3が最終で、我々はその先の五本松城を目指した。余湖さんの記述の通り、ここから先は恐ろしい数の倒木が道を遮り急斜面に散乱していた。

我々の尊敬して止まない余湖さんが、五本松城の遺構を見た後にこの城を見て失望を禁じ得なかったのは、「せっかくきたのにこれかよ!!」という思いであり、無理からぬ事である・・・・(涙)

ってか、小生、内山城を記事にしていないのである。てっきり書いてあるものだと信じていた。何という失態・・・(笑)

内山古城 (33)
郭3付近を調べる「ていぴす殿」出演料は特にありませぬ(笑)

≪内山古城≫ (うちやまふるじょう 長沢城)

標高:950m 比高220m
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:佐久市内山香坂入
攻城日:2014年11月8日 
お勧め度:★★★☆☆
城跡までの所要時間:内山城より尾根伝いで約10分
駐車場:園城寺の駐車場借用
見どころ:おおきな土塁、切岸など
参考文献:「信濃の山城と館①佐久編」(2013年 宮坂武男著)
注意事項:冬は鉄砲隊(ハンター)に注意。

志賀城2 (47)
志賀城の東端の尾根先から辛うじて見える内山古城。








スポンサーサイト

Posted on 2014/12/07 Sun. 17:43 [edit]

CM: 6
TB: 0

« 五本松城 (佐久市志賀)  |  飯縄山城 (小県郡青木村当郷) »

コメント

縄張図は難しい

お説のとおり、縄張図は難しいですね。
同じ城を3人が描いて突き合せたら・・何、これ?ってことありました。
どこまでが曲輪か、直線状なのか、曲線状なのか、捉え方もバラバラだし。
ただの緩斜面か、曲輪か捉え方も違うし。宮坂さんの図もあれ?って思う事あるし。
人さまの図は尊重しますが、結局、自分の見た目でとらえ、納得するしかないのでしょう。
3D縄張図があればおもしろいですね。

あおれんじゃあ #- | URL | 2014/12/08 22:31 * edit *

Re: あおれんじゃあ様へ

CADを使って全方位から眺められるようにすれば面白いと思うのですが、土の凸凹を正確に測ってデータ化するなど発掘調査したとしても難しいでしょうね。
風化、堆積、地盤崩落、地震による変化、耕作地化による改変・・・表面観察の限界もありますね。
鳥瞰図もその一つでしょうが、初心者の方がパッと見て興味が持てる縄張図となるような工夫も必要だと思われます。3D縄張図ですか、面白そうです。

らんまる #- | URL | 2014/12/09 07:17 * edit *

おおきな土塁♪

こんばんは、らんまるせんせ。
まあ。甲賀名物・高い土塁と四角いおうちが山の上に♪・・・あれ?なるほど。おっきい土塁や凸凹が素敵ですねー。あり地獄・・・せんせ、さすがの表現力でございます。
友情出演のていぴす殿のおかげで倒木の太さと長さと、遺構のスケールがよくわかります。でっかいですねぇ。いいなぁ。すごいなぁ。
余湖様の鳥瞰図は、縄張図に生える産毛みたいなものすらわからない初心者にも「あ、ここが面白いなー」と現場で自分で発見する楽しさがありました。そして産毛が斜面らしいと学んで参りました。

つねまる #pjmS0te2 | URL | 2014/12/09 20:10 * edit *

Re: つねまる様へ

日々精進為されているご様子、中々出来るものではございませぬ。

縄張図の外周を鼻毛のように描かれている斜線は「ハケ」(禿ではござらん)といって、地山の斜面ではなく人工的に加工された斜面(切岸)でございます。
今でさえ雑木林や鬱蒼とした森の中に埋もれている山城ですが、往時の城域は草木も全て刈り取られたスッポンポン状態なので、守る側は全方位のロケーションバッチリで猫の子一匹も入れません。攻める側はスナイパーを雇うか夜討ちでもしない限り迂闊に手だし出来ません(汗)

後詰めを待たずに打って出た「もりりん」の最後雄姿に涙した小生ではございますが・・(笑)

らんまる #- | URL | 2014/12/09 21:00 * edit *

凄い~~~(@@)
らんまる様クラスになると、御自分でも縄張り図を書かれるんですね^^

>廓蟻地獄
前に「廓」をつけたら何とか忍法帳のサブタイトルみたいになってしまった^^;

>神の少し大げさな誇張表示(デフォルメ)
あ・・・やっぱあるんだ・・・郷土愛が溢れすぎた表現が^^;;

>人工的に加工された斜面(切岸)
(*ノ・ω・)ノオオオオォォォォ
あのミジンコの繊毛みたいなの(ゴメンナサイ)って、そういう意味だったんだ!!!シランカッタ

>往時の城域は草木も全て刈り取られたスッポンポン状態
___φ(.. ) メモメモ
ありがとうございます!!!勉強になります!!

時乃★栞 #- | URL | 2014/12/10 23:46 * edit *

Re: 時乃栞様へ

縄張図も作図に関しては一応ルールがあります。宮坂武男氏は堀と土塁の表示を独自な表現を用いて描いていますが、これが非常に分かり易くてグッドデザイン賞に該当すると思っております(笑)

山城の規模は投下出来る土木工事量に比例するようです。新築物件で工期は平均三ヶ月。ある程度の規模の在地土豪(国人)か大勢力でなければ築城など出来なかったと思われます。
城域は基本的にツルツル状態で草木などありません。寄せ手も丸見え状態でつかまるところも無いので城攻めにおける被害が甚大なのは無理からぬ事だったと思います。

らんまる #- | URL | 2014/12/11 07:31 * edit *
コメントの投稿
Secret

トラックバック
トラックバックURL
→http://ranmaru99.blog83.fc2.com/tb.php/666-3f592682
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

城主からのご挨拶

地域別攻城戦記

諸国在住の皆さまのありがたき進言

もののふ入城者数

在城中の「もののふ」

攻城戦記年表

▲Page top