らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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物見城2 (リテイク 上田市下塩尻)  

◆背後を五連続の豪快な堀切で守られた村上連珠砦の重要な監視砦◆

上田盆地の北側の千曲川右岸に屏風のように聳え立つ山塊には、「村上連珠砦」(むらかみれんじゅさい)と呼ばれる大小16を数える山城がネットワークとして点在し、村上義清の居館の詰め城である葛尾城~難攻不落の砥石城までを中継している。

村上連珠砦③
「上田 道と川の駅」から見た東側。ここから砥石城は柏山城の裏側になるので見えない。

村上連珠砦①
村上連珠砦のピークとなる虚空蔵山城は1077m。比高は647m。

村上連珠砦②
坂城との境にある和合城は戦国末期まで境目の城として重視され現役であり続けた。山麓には「ねずみ」の地名。

虚空蔵山城~和合城までは登山道も整備されてますので、時間と体力さえあればいつでもアテンドします。お気軽にお申し付け下さい。

で、今回ご案内させていただくのは、「ケムリの城」と共に戦国末期まで使用されたであろうと推定される「物見城」。
豪快な五連の堀切に目眩(めまい)を起こす程の感動をお伝えしたい・・・(笑)

物見城(村上連珠砦群) (1)
中部陸運という運送会社の東に「菖蒲平・和合城」への登り口があるが、左には行かず右の沢をひたすら詰める。

前回は無理して尾根を直登したが、ガレの岩盤が剥き出しの岩山でとても危険。西の沢は多少の藪漕ぎが必要で歩きづらいのを我慢すれば、ゆっくり1時間程度で城跡に辿り着く。景色が見えず心細いのが難点だ・・・(汗)

【立地】

虚空蔵山の南斜面の中段で、ケムリの城の西側の支尾根上の岩山に立地する。ここからは和合城、ケムリの城、千曲川の対岸が良く見える。

物見城(村上連珠砦群2015)
五連の堀の芸術作品である。

【城主・城歴】

小県郡誌にも掲載されず史料や伝承が無い。唯一、地元の塩尻小学校の郷土史料に載っているので、どこかの古地図にあったとされるが詳細は不明である。

物見城(村上連珠砦群) (5)
南尾根から主郭方面。これだけの急斜面なら防御構造は不要であろう。夏は藪で入れないだろう。

物見城(村上連珠砦群) (6)
主郭の南縁は土留めの石積みが散見される。

物見城(村上連珠砦群) (21)
段差のある主郭の南側。部隊が駐留出来る場所では無い。

物見城(村上連珠砦群) (15)
主郭背後の堀切㋐。上巾は4m程度だが、岩盤を刳り抜いた落差のある堀切だ。

【城跡】

縄張り図を見てお分かりの通り、「決して敵に渡してはならない重要な砦」なのである。

でなければ、こんなゴミのような狭い二つの郭に身分不相応な五連の大堀切など造作する訳が無い。

「死守せよ!!」 このことであったと思われる。

和合城その1
和合城との連携もバッチリだ。

ケムリの城遠景①
物見城から見たケムリの城のシルエット。感動ものだ。

物見城(村上連珠砦群) (25)
上巾4の堀切㋐。岩盤を刳り抜いた芸術作品。

物見城(村上連珠砦群) (27)
堀切㋐から見た主郭の切岸。小さいながらも落差5mは「ハンパねえ!!」 (笑)

物見城(村上連珠砦群) (59)
郭2。(15×5)三人も立てば満員ですw

●東側5連・西側4連の大堀切

郭2の背後の尾根は圧巻の土木工事である。東尾根は堀切㋑を2重の堀切にして堀切㋒と沢の斜面で合流させている。

物見城(村上連珠砦群) (29)
郭2から見た東斜面の堀切の処理。

物見城(村上連珠砦群) (32)
堀切㋒

物見城(村上連珠砦群) (40)
深い竪掘となって東斜面に落ちていく

●北側の尾根の二重堀の処理

かなり大掛かりな土木工事で排出した土砂はどうしたのだろう?と余計なお世話(笑)

物見城(村上連珠砦群) (43)
堀切㋒との接続部分から見下ろしてみる。

物見城(村上連珠砦群) (46)
西の沢に落ちる堀切㋓

物見城(村上連珠砦群) (51)
北尾根からみた尾根上の堀切の処理。

物見城(村上連珠砦群) (55)
高低差を付けてゴッツイ岩山を削る難作業だった訳で・・・

物見城(村上連珠砦群) (57)
この時期の山城は美しい。

考えてみたら、この砦と堀切、500年の風雪に耐えてきたわけである。

500年保証の土木工事・・・・凄いなあと改めて思う次第・・・(汗)

物見城(村上連珠砦群) (65)
上田城方面を見る。上杉軍も使用したんでしょうか。


≪物見城≫ (ものみじょう 小矢場城)

標高:695m 比高:275m 
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:上田市下塩尻
攻城日:2015年3月14日
お勧め度:★★★★☆
城跡までの所要時間:50分
駐車場:無し(迷惑がかからないように適当に路駐)
見どころ:堀切、石積み、展望
参考文献:「信濃の山城と館③ 上田・小県編」(2013年 宮坂武男著 戎光祥出版) 
注意事項:登山道はありません。適当に直登。靴はしっかりしたものを着用のこと。
付近の城跡:村上連珠砦を楽しもう!
その他:

物見城遠景
高津屋城から見た物見城。





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Posted on 2015/03/21 Sat. 10:11 [edit]

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« 木曾路放浪記2  |  山城シーズンの追込み開始を襲う悲劇 »

コメント

こんばんは

信濃の国の青空、恋い焦がれます。
ふと思ったのですが、平地の道と川の駅あたりよりも、砦が連なる山上のほうが、人の生活に適していたのでしょうか。

えいき #- | URL | 2015/03/23 22:28 * edit *

Re: えいき様へ

月生城シリーズ投了したようですね、お疲れさまでした。
小生もさっさと在庫処分出来ればよいのですが、気力が湧きません・・(汗)

山城のトップシーズンも残り一ヶ月というところでしょうか。
非常に焦っております。来月は北信濃へ出陣しようかと思っておりますが、その険しさに恐れおののいております(笑)

交通手段とすれば山道が最速で最も安全だったと思われます。但し夜の移動はオオカミが出没し危険でしょう。
最近は軍事という視点で軍隊や兵站補給について思いを馳せております。
城も軍事構築物ですし・・・。難しい分野ですね。

らんまる #- | URL | 2015/03/24 07:24 * edit *
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