らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

0331

ケムリの城2 (リテイク 上田市上塩尻)  

◆村上連珠砦の探索に際には必ず訪問して欲しい至極の岩盤要塞◆

桜前線の北上と同時に山城シーズンの終了が近づいている。ヤバイ・・・(汗)

このところの晴天続きと気温の上昇で信濃の木々の芽吹きと雑草の成長がハンパない。

北信濃の諸城巡りもGW前でアウトになる・・・会社休んでもラストスパートしたい・・・(笑)

今回ご紹介するのは、何度来ても飽きない鉄塔No25が突き刺さる「ケムリの城」のリテイク記事である。

虚空蔵山①
正攻法は虚空蔵山縦走ルート。座摩神社~持越城~虚空蔵山城~高津屋城~鉄塔No26⇒鉄塔No25(ケムリの城)

【ケムリの城へのルート】

この城を単独で訪問するのは非常に困難である。が、幸いな事に城跡には鉄塔(No25)が突き刺さっているので、村上連珠砦を縦走するルートの尾根に立つ鉄塔(No26)からの保安道を利用すると快適に到達出来る。

塩尻神社経由で燕城から搦め手の尾根を伝うルートでも行けるが、かなり傾斜がキツイのでお勧め出来ない。

虚空蔵山城②
こんな険しい屏風のような山でゲリラ戦を強いられたら大変。

城郭探訪の全国区のパイオニアである「埋もれた古城」の管理人ウモ殿も昨年に村上連珠砦を制覇されたとか。いやはや恐れ入りまする・・(笑)

【城主・城歴】

前回ご紹介した物見城と同様で全く不明で小県郡誌にも出てこない。名前からすると狼煙台らしいが何とも言えない。

ケムリの城見取図①
鉄塔(No25)の刺さっている場所も郭だったと思われる。破壊が最低限に抑えられた事は幸運だった。

【城跡】

主郭背後の北側に豪快な岩盤製の四条の堀切を穿ち、南に突き出す尾根先に石積みで武装した郭を四つ繋げ、その先を大堀切で絶つ単純さで、隣接する物見城を発展拡大させた縄張りである。

●四連の堀切

ケムリの城(村上連珠砦群) (3)
保安道を進むと最初に見える堀切㋔(上巾5m)

ケムリの城(村上連珠砦群) (5)
岩盤の間を縫うように保安道を進んで城域最大の堀切㋓に進む(転落注意)

ケムリの城(村上連珠砦群) (10)
堀切㋓(上巾15m)。岩盤剥き出しの南側を利用して北尾根を削ったものであろうか。

ケムリの城(村上連珠砦群) (9)
村上連珠砦の特徴ともいえる岩盤堀切のオンパレード。国宝級の荒っぽさがステキ!!(笑)

ケムリの城(村上連珠砦群) (17)
堀切㋓は東斜面を竪掘にして遮断線としている。

ケムリの城(村上連珠砦群) (18)
堀切㋓と北側の尾根の通路。

削岩機も重機もショベルも無い時代に、凄い土木工事の痕跡である。
城域には井戸も水の手も無いので、土木作業員は竹筒に僅かの水を入れて働いたのであろうか。

ケムリの城(村上連珠砦群) (25)
堀切㋒(上巾5m) 岩盤を削る執念。

ケムリの城(村上連珠砦群) (34)
ワニの口じゃありません・・(汗) 堀切㋑を主郭背後の土塁から見下ろした写真です・・・・。

ケムリの城(村上連珠砦群) (38)
西側側面より撮影した堀切㋑。

●郭群
※夏場の郭1と2は棘の植物と藪が支配してしまい、見学も撮影も難しい。(体験談)

ケムリの城(村上連珠砦群) (39)
背後から城内が見えないように土塁が意図的に置かれている。

ケムリの城(村上連珠砦群) (33)
郭1(9×6)。土留めの石積みの土塁が全周していたものと推定される。

ケムリの城(村上連珠砦群) (36)
郭の周辺に確認出来る石積み。

ケムリの城(村上連珠砦群) (43)
100年保存住宅よりも価値のある500年耐久石積み(笑)

ケムリの城(村上連珠砦群) (35)
郭1(主郭)と郭2の接続部分は登り石積みで防御線を構築している。

ケムリの城(村上連珠砦群) (37)
郭2(6×15)。

ケムリの城(村上連珠砦群) (52)
郭2の南側の石積み。北信濃の山城と共通の系譜で美しい。

ケムリの城(村上連珠砦群) (57)
鉄塔脇からみた城域中心部。

ケムリの城(村上連珠砦群) (44)
鉄塔の刺さる部分も郭だった可能性は高い。

ケムリの城(村上連珠砦群) (59)
自然地形を加工したと思われる堀切㋐。

ケムリの城(村上連珠砦群) (67)
西斜面に落ちる堀切㋐

ケムリの城(村上連珠砦群) (62)
鉄塔下の壁の石積みには崩落防止のネットが。電力会社の真摯な姿勢には拍手喝采である。

●ネットワークの中継拠点としての役割

ここからは稜線上に物見城、和合城が視野に入り、対岸には須々貴城、小泉上の城、遠く塩田城、子壇嶺城までも視界に入る。山頂の虚空蔵山城は標高が高すぎて狼煙台としては使い勝手が悪かったとも考えられる。

また、戦闘用の砦としてもかなり重視されたことは、五本の堀切や石積みからも見て取れる。

ケムリの城(村上連珠砦群) (56)
和合城との連携は絶対であろう。

個人的には既に5回訪問している。何度来ても新しい発見がある。

村上連珠砦では和合城の人気が高いが、玄人好みはケムリの城だと思っている・・(笑)

今年の秋にオフ会を主催して、票集めを行い不動のトップを密かに狙っている・・・・・(爆)


≪ケムリの城≫ (けむりのしろ)

標高:795m 比高:375m 
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:上田市下塩尻
攻城日:2015年3月14日
お勧め度:★★★★★ (個人的には満点)
城跡までの所要時間:物見城経由で90分
駐車場:無し(迷惑がかからないように適当に路駐)
見どころ:堀切、石積み、展望
参考文献:「信濃の山城と館③ 上田・小県編」(2013年 宮坂武男著 戎光祥出版) 
通常ルート:虚空蔵山城(または和合城)からの尾根を縦走し鉄塔No26から鉄塔No25への保安道を進む。
付近の城跡:村上連珠砦を楽しもう!
その他:

和合城①
まあね、和合城もとても美しいのです・・・(菖蒲平からの撮影)


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Posted on 2015/03/31 Tue. 21:36 [edit]

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コメント

発破?

こんばんは、らんまるせんせ。様々な山城を拝見するにつけ、せんせの訪れるお城の濃さに改めて感動しております。
高い山をわざわざ攻めずにさっさと平地を進んだら早いのにな、っと単純に考えてしまいます。進んだ後の事は、はて?ですが。
同じ平面図に見えても、土だけの山城と岩盤を含む山城とでは、鉄骨鉄筋コンクリート造と木造程の差があるのですねぇ、きっと。岩盤を掘るのに爆薬どかん!っとはしてないですよね。コツコツと掘ったのでしょうか。すごいなぁ。

つねまる #pjmS0te2 | URL | 2015/03/31 21:55 * edit *

Re: つねまる様へ

コメントありがとうございますw
精力的にブログを更新されていますね、凄いなあーといつも思っております。
小生は拙いブログなのに言葉を選び、写真にこだわり、見る人の為に補助線を入れ、挙句の果てに疲れてしまい先延ばしの日々が続いております・・(笑)

ようやく市民権を獲得しつつある山城でありますが、「おっさんどもの奏でる山城」ではダメです(笑)
城ガール隊とか、歴ドルとか、「なんかよくわかんないけど、萌えます」的な発想と行動が必要です(爆)ツイッターもよくわかんない方が多いので戸惑っております・・・(汗)

らんまる #- | URL | 2015/03/31 22:10 * edit *

これは満点クラスですね

みたところ容易ではなさそうですが、90分程度で到達できるのでしたら、行ってみたいです。駒沢主税助が打死したのはjこの辺りなのでしょうね。

えいき #- | URL | 2015/03/31 22:49 * edit *

Re: えいき様へ

いえいえ、大岩城の切岸をトラバース出来る貴殿ほどの猛者であれば容易いでしょう(笑)
この連珠砦に籠る上杉軍を真田昌幸は攻めあぐね、景勝に反旗を翻した屋代秀正はこの城砦群で攻めかかる上杉軍を撃退したと伝わります。
ご来城、お待ち申し上げます。

らんまる #- | URL | 2015/04/01 07:19 * edit *

改めて凄いですなあ

あの時はお世話になりました。
迫力満点の堀切、そんじょそこらでは見れませんなあ。
戦国時代の緊迫感がそっくりそのままフリーズされているようです。
よくあんな岩盤を砕いたものです。
鉄塔の先の切岸をお尻で滑り落ち、その後のお風呂でしみたねえ。

あおれんじゃあ #- | URL | 2015/04/04 22:12 * edit *

Re: あおれんじゃあ様へ

もう何年前になるんですかねえ・・・
「青年老い易く学成り難し」(笑)

虚空蔵山(村上連珠砦)に立つとタイムスリップした感覚になります。
戦時の緊張感がビンビンと伝わりますネ。
岩盤砕いてでも武田に抵抗して見せる・・・そんな決意でしょうか。
またご一緒したいものです。

らんまる #- | URL | 2015/04/05 08:34 * edit *

前山古城

先日、信州、佐久市前山にある前山古城に登ってきました。この山城にアクセスするため、北側の蓼科スカイラインから登ったところ、宮坂氏の著書「信州の山城と館 佐久編」にも掲載されていない山城を発見しました。一応前山北古城として、ブログに紹介しております。大規模な山城で佐久教育委員会に問い合わせております。

富岡武蔵 #mQop/nM. | URL | 2015/05/13 22:03 * edit *

Re: 富岡武蔵様へ

ご無沙汰しております。相変わらず精力的に城巡りをなされているようで貴殿のタフさには脱帽ですw

そうでしたか、ありましたか遺構が。
広い信州ですから、市町村誌や地元の口伝にすらも残されずに朽ち果てた砦も多数眠っているのでしょうね。
佐久には笠原城の前衛とされる地ヶ入砦(志賀)もあり宮坂氏も調査しきれていないようです。
まだまだお宝がありそうですので、発見の旅を続けてまいりましょう!

らんまる #- | URL | 2015/05/14 07:09 * edit *
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