らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

0506

現城 (松本市会田岩井堂)  

◆立峠を監視する会田虚空蔵山城の西端の砦◆

家人の冷たい目に耐えながら、GWの5連休のうち、4日間は何処かの山城を攻め続けた「大バカ者」である・・(笑)

残念ながら新緑の生い茂る山城の遺構は写真映えしないのだが、「行ってきましたという自己満足」に納得・・(爆)

今回ご紹介するのは、いつか登りたいと思い続けた「現城」(うつつじょう)。やっとこさ夢を「うつつ」にした。

会田虚空蔵山城砦群(2015) (147)
会田虚空蔵山城砦群の全景。砦の数では村上連珠砦には及ばないが完成度の高さはこちらのが上だと思う。

【立地】

虚空蔵山城の西へ延びる尾根が岩井堂へ落ち込み、南へ折れ曲がる中段の小山に立地し、西下の岩井堂沢沿いに登る立ち峠への道(善光寺街道)を目の下に見る場所である。この砦は会田虚空蔵山城砦群の一つで、筑北・麻績地方へ通じる立峠(たちとうげ)を抑えるには格好の立地である。

城の名の由来は、砦のある山麓を通る善光寺往還の傍らに湧き出る冷泉がありこれを「うつつの清水」と云い、立峠に登る旅人がこの清水で喉をうるおした。そこから付けられた名ではないかと思われる。

現城(松本市四賀) (1)
ていぴす殿に教えて頂いた岩井堂集落からの入口。橋を渡ったら右へ進み、脇道の竹藪へ入る。

嘗ては人家があったと思われる平坦部への入口の竹林は、手入れも放棄されて久しいようで「とおせんぼ」の状態。僅かな隙間を匍匐前進(笑)。岩崖の斜面で四つん這いになった経験は多々あるが、平地で四つん這いになるとは初体験(汗)

まあ、こんな思いをするなら無量寺の裏山から尾根を登るのが単純明快。ちゃんと道形もあるし・・・・(笑)

現城(松本市四賀) (2)
無量寺の裏山の尾根をひたすら登ると約20分で堀切㋐がお出迎えしてくれます。

尾根伝いには目印として赤いテープが枝に付けられているので迷う事はありません。有り難い事です。

現城縄張図①
見張り砦なので、この程度で充分でしょう。

【城主・城歴】

会田岩下氏の虚空蔵山城砦群の一つである。天文二十二年(1553)四月に武田軍による攻撃で刈谷原城が落ち、その後青柳城、麻績城への攻撃が始まるので、その頃に会田岩下氏が武田に降り虚空蔵山城砦群も武田により改修されたと思われる。
その後、天正壬午の乱(1583)が勃発し、父の小笠原長時時代の裏切り者の復讐に燃える貞慶によって会田岩下氏は滅亡する。

現城(松本市四賀) (4)
堀切㋐(上巾12m)

現城(松本市四賀) (6)
西の尾根を遮断する唯一の堀切㋐の拡大写真。

【城跡】

小山の丁部を平削して主郭と副郭の二段の郭を設営し、背後に片掘を穿っただけのシンプルな砦である。主郭の南側には虎口の窪みがあるので、堀切㋐の堀底を介して南に通路を置いてそこから入ったと思われる。

現城(松本市四賀) (18)
堀切㋐に接続する郭2(郭1から撮影)

現城(松本市四賀) (20)
主郭と南側の虎口。

主郭も副郭も特段に土塁が巡る訳でもないが、落差のある堀切㋐があるのでその必要は無かったのかもしれない。また、主郭背後は結構な急斜面なので堀切㋑も北斜面のみの方掘としている。想定すべきは北側からの敵なので傾斜のキツイ南斜面まで貫通させる必要は無かったのかもしれない。

現城(松本市四賀) (24)
主郭背後から見た堀切㋑。

現城(松本市四賀) (25)
近くで撮影しても実感の無い堀切㋑(笑)

現城(松本市四賀) (28)
鞍部を郭と認識するかは微妙な判断である。

宮坂武男氏は、鞍部の先についても郭という認識を持たれているが、小生にはそうには見えず自然地形と思われた。

現城(松本市四賀) (29)
鞍部から見た虚空蔵山城。ここからの比高270mというのはハンパ無い・・・(汗)

立峠の監視砦としては申し分ない位置にあり、対岸の唐鳥屋城とタイアップして侵入する敵に対して伏兵で対応するには絶好のロケーションである。(残念ながら今は現地からの見晴らしは良くないが・・・)

たかだか堀切二本に郭二つの出城である。
それでも、会田虚空蔵山城砦群を語る上では絶対に訪れて欲しい場所である・・・・

現城(松本市四賀) (41)
主郭(25×17)

≪現城≫ (うつつじょう)

標高:860m 比高:140m (無量寺より)
築城年代:不明
築城・居住者:会田氏、武田氏
場所:松本市会田岩井堂
攻城日:2015年5月4日
お勧め度:★★☆☆☆
城跡までの所要時間:20分
駐車場:道路脇に適当に路駐
見どころ:堀切、虎口
参考文献:「信濃の山城と館④ 松本・塩尻・筑摩編」(2013年 宮坂武男著 戎光祥出版) 
注意事項:特に無し
付近の城跡:唐鳥屋城、会田虚空蔵山城砦群など
その他:会田虚空蔵山城砦群を語るなら行くべし(笑)

会田虚空蔵山城砦群(2015) (148)


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Posted on 2015/05/06 Wed. 23:00 [edit]

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コメント

現城

以前より気になっていた現城のご紹介、楽しく拝見いたしました!
小生が挑戦したときは、前日に新潟で大地震があって、付近の車道が土砂崩れになったままだったので退散した記憶がございます。

なんとも渋い砦ですね。
往時のママのようですね。
ものすごく魅力を感じております(^^*
今後ともブログも楽しく拝見させてください!

まさはれ #iXQNhkLY | URL | 2015/05/07 20:10 * edit *

Re: まさはれ様へ

そうでしたね、貴殿が地震の影響を心配されていた笹洞城も現城も何とか往時の状態を保っております。
地域密着型の城サイトとしては、最新の情報を皆様にお届けしなくてはいけないのですが、遅々として進みません(汗)

現在の会田虚空蔵山城砦群は、小笠原貞慶が会田岩下氏を滅ぼしたのちに上杉景勝と筑北地方の麻績城をめぐる争奪戦と川中島四郡への侵略の足がかりとして大掛かりに改修したのだと思われます。(個人の勝手な想像の域を出ませんが・・)
貞慶が会田岩下氏に上杉への内通の疑いありとして成敗に及んだのは当たり前の話でしょう。会田の里に上杉軍が入ったら貞慶さんの深志城は刈谷原城を介したとしてもヤバ過ぎですもの・・(笑)

皆様のご期待に添える記事は書けませんが、それとなく信濃の城を身近に感じて頂けるよう頑張りますので、これからも御贔屓に願えれば幸いですw

らんまる #- | URL | 2015/05/07 21:00 * edit *

こちらすでに終戦

信州はGWまではお山OKですね。
こちら、すでに新緑に覆われ、蛇さん出没、ホーネットが飛び交っており、シーズンオフです。
心のこり多いし、寂しいです。
小さく単純形状の城ですが、山の中に完存状態で400年以上も眠っているのは嬉しいですね。
そんなセコイ城がまたたまらんのですなあ・・ビョウニン用?

あおれんじゃあ #- | URL | 2015/05/08 09:09 * edit *

匍匐前進♪

こんにちは、らんまるせんせ。おお、ここが匍匐前進の現場ですかー!
連休にサバイバーする大黒柱。素敵。ちゃんとおうちに帰るまでが遠足ですねー。
付近の城砦群と併せて、来るなら来い!って構えが怖いです。すごいなー。楽しいなー。
お社も対虫防御万端にして巡る季節になりました。いい季節は短いですね。

つねまる #pjmS0te2 | URL | 2015/05/08 18:15 * edit *

Re: あおれんじゃあ様へ

こちらもそろそろ玉音放送が流れます・・
「耐えがたきを絶え、偲び難きを偲ぶ」オフシーズンに突入です(笑)

会田虚空蔵山城砦群は攻めどころ満載で飽きません。
武田氏による改修説もありますが、あの遺構はどう見ても貞慶さんが青柳城・麻績城を巡る景勝との戦いに備えた境目の城としての工事の跡でしょう。かなり優秀な技術集団を雇っていた事実は深志城周辺の山城を調べれば一目瞭然。
んで、現城は見張り小屋なので蚊帳の外・・(笑)それでも堀切がバッチリ残っているので病人は覚醒しますよ・・・・(爆)

らんまる #- | URL | 2015/05/08 21:01 * edit *

Re: つねまる様へ

ようやく市民権を得つつある中世の山城巡りの趣味ではございますが、個人の家庭内での理解度を得るには至っておりません・・・(汗)

「ちょっくら隣町の山にトレッキングに出掛けて来るから・・」

そう言い残して、「頭文字D」も真っ青に峠をポンコツの軽自動車でガンガン攻めて目的地に到着し、ササっと(息も絶え絶えに)山城巡りをして半日で帰還。その繰り返しがこの連休の過ごし方・・・・(笑)
この辺の城のコンセプトは「えー、攻めてくるの?止めたほうがいいよ、それでも来たいなら相手してあげる」って感じでしょうか・・。

ハチ、毛虫、蜘蛛、蚊、蛇、ダニ、ヒル・・・夏場はやはり手ごわい敵が多いので遠慮しておきます・・(爆)

らんまる #- | URL | 2015/05/08 21:28 * edit *

見張り砦

こんにちは やはり峠道方面の監視用に造られたのでしょうね 比較的小型ですが雰囲気の良さげな感じが伝わりますー
虚空蔵山の本城は遺構&見晴らしも素晴らしくてお気に入りのお城です また大きな要塞の如く、周囲には支城もたくさんあるようですね いろいろ興味深いと思います....

yama #- | URL | 2015/05/08 23:28 * edit *

Re: yama様へ

会田虚空蔵山城は毎年発掘調査が行われ、今年も水の手及び付近の竪掘について行われるようです。
青柳城や麻績城のある筑北付近は信濃の重要道が交差する要衝で、この地を制圧するための境目の城として大規模な改修が戦国末期まで続けられたのだと思います。
中信濃を代表する貴重な山城で大事にしたいものです。

らんまる #- | URL | 2015/05/09 07:28 * edit *
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