らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~
「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。
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山城の最高峰に位置する「御坂城」(山梨県笛吹市)のリベンジに挑む ⑤ 
◆御坂城の幾何学的な防衛網の中枢部◆
さて、色々と寄り道をして引き延ばしていたが、御坂城の最終回の記事を書かねば「愚か者」の誹りを受けるであろうか・・・(笑)
これだけの規模の山城となると、一度目の訪問では全体像を捉えて、二度目で細部を検証するという作業が必要になるだろう。
特に中枢部の「A地区」はその複雑な防御構造ゆえに、自分で縄張図に落とす作業を伴わないと理解が厳しいというのが実感だ。

藤野木から1時間の登山で、素晴らしい御坂城の遺構が拝めるのなら安いものであろう。
【A地区】
中世城郭探訪の全国区のパイオニアであるウモ殿によれば、御坂城のA地区は御坂峠の関所であるという。
「やはり百戦錬磨の先駆者は、うまい事表現するなあー」 なるほどの一言である。

D地区との接続部。北斜面を下る横堀をL字で屈折させて南側に三日月堀を連結させる技法が凄い。

今回ご案内するA地区はここ。
直線の横堀+L字堀の組合せを多用する御坂城にあって、中枢部A地区の三日月掘はひときわ目立つ防御機構であろう。
L字堀の「折れ」が局地的な殺傷を目的としているのに対して、三日月堀の中心部の郭は「全方位」の有効であり、背後に回り込まれた場合を想定していると思うが、どうであろうか。

三日月堀への導入部分(C地区との接続部分)

南斜面に弧を描く三日月堀。
三日月堀に隣接する東側のトイレ付近からはL字の竪堀が下る。この斜面の南側は河口湖からの峠道が回り込んでいるので傾斜が緩い。その為に増設されたと思われる。

トイレ付近から南斜面に落ちるL字竪堀。
転じてA地域の北側斜面の防御について見てみよう。藤野木側は徳川軍に備えているので、斜面に対して横堀を二重としL字形とすることで「折れ」を作っている。中心部から二条の短い堀と間に高い土塁を置くことで進入路を限定し狭間を作っている。

A地区北西の二重堀切の処理。

L字堀を行き止りにしてその先に竪堀を落とす。
まあ、色々とウンチクを並べるよりも写真を並べて中枢部の防御を見てみましょうか・・・・(笑)

高土塁を重ねて狭間を作り誘い込む

南斜面をひたすら走る横堀

あそこから狙い撃ちされたらヤバイ・・・(汗)

A地区とB地区を遮断するL字堀切の通路は喰い違い虎口という念の入れよう。

A地区の北斜面の堀で位置を確認する「ていぴす」殿(おまけショット)
さて、イッキに一話で完結する気力が無く、だらだらと5回に渡って連載しました御坂城は如何だったでしょうか?
最終回は「テキトー病」が発病してしまいました・・・・(笑)
残念ながら御坂城から見えるはずの美しい富士山はガスが深く巻いてしまい、見えずじまい。
それでも、「また探訪したい」と思わせる素晴らしい山城でした。未訪の皆さん、是非チャレンジしてみてください。
≪御坂城≫ (みさかじょう)
標高:1,575m 比高:630m (藤野木より)
築城年代:天正十年(1582)
築城・居住者:後北条氏
場所:笛吹市御坂町御坂峠
攻城日:2016年10月23日
お勧め度:★★★★★ (満点)
館跡までの所要時間:60分 駐車場:峠道文化の森公園入口(4WDでないとここまでは入れないので注意)
※天下茶屋からのルート、河口湖側のみさか道のルートもあり
見どころ:全て堪能してください。
注意事項:峠道とはいえ標高1,500mなので登山装備で。登山靴は途中ガレが多いので厚底のものがお勧め
参考文献:「甲斐の山城と館①中部・北部編」(2014年 宮坂武男著 戎光祥出版 P384参照)
付近の城址:小山城、大野城、蜂城など
SpecialThanks:ていぴす殿

脚力に自信のある方は富士山撮影の絶景ポイントがある「天下茶屋コース」がお勧めですよ。
さて、色々と寄り道をして引き延ばしていたが、御坂城の最終回の記事を書かねば「愚か者」の誹りを受けるであろうか・・・(笑)
これだけの規模の山城となると、一度目の訪問では全体像を捉えて、二度目で細部を検証するという作業が必要になるだろう。
特に中枢部の「A地区」はその複雑な防御構造ゆえに、自分で縄張図に落とす作業を伴わないと理解が厳しいというのが実感だ。

藤野木から1時間の登山で、素晴らしい御坂城の遺構が拝めるのなら安いものであろう。
【A地区】
中世城郭探訪の全国区のパイオニアであるウモ殿によれば、御坂城のA地区は御坂峠の関所であるという。
「やはり百戦錬磨の先駆者は、うまい事表現するなあー」 なるほどの一言である。

D地区との接続部。北斜面を下る横堀をL字で屈折させて南側に三日月堀を連結させる技法が凄い。

今回ご案内するA地区はここ。
直線の横堀+L字堀の組合せを多用する御坂城にあって、中枢部A地区の三日月掘はひときわ目立つ防御機構であろう。
L字堀の「折れ」が局地的な殺傷を目的としているのに対して、三日月堀の中心部の郭は「全方位」の有効であり、背後に回り込まれた場合を想定していると思うが、どうであろうか。

三日月堀への導入部分(C地区との接続部分)

南斜面に弧を描く三日月堀。
三日月堀に隣接する東側のトイレ付近からはL字の竪堀が下る。この斜面の南側は河口湖からの峠道が回り込んでいるので傾斜が緩い。その為に増設されたと思われる。

トイレ付近から南斜面に落ちるL字竪堀。
転じてA地域の北側斜面の防御について見てみよう。藤野木側は徳川軍に備えているので、斜面に対して横堀を二重としL字形とすることで「折れ」を作っている。中心部から二条の短い堀と間に高い土塁を置くことで進入路を限定し狭間を作っている。

A地区北西の二重堀切の処理。

L字堀を行き止りにしてその先に竪堀を落とす。
まあ、色々とウンチクを並べるよりも写真を並べて中枢部の防御を見てみましょうか・・・・(笑)

高土塁を重ねて狭間を作り誘い込む

南斜面をひたすら走る横堀

あそこから狙い撃ちされたらヤバイ・・・(汗)

A地区とB地区を遮断するL字堀切の通路は喰い違い虎口という念の入れよう。

A地区の北斜面の堀で位置を確認する「ていぴす」殿(おまけショット)
さて、イッキに一話で完結する気力が無く、だらだらと5回に渡って連載しました御坂城は如何だったでしょうか?
最終回は「テキトー病」が発病してしまいました・・・・(笑)
残念ながら御坂城から見えるはずの美しい富士山はガスが深く巻いてしまい、見えずじまい。
それでも、「また探訪したい」と思わせる素晴らしい山城でした。未訪の皆さん、是非チャレンジしてみてください。
≪御坂城≫ (みさかじょう)
標高:1,575m 比高:630m (藤野木より)
築城年代:天正十年(1582)
築城・居住者:後北条氏
場所:笛吹市御坂町御坂峠
攻城日:2016年10月23日
お勧め度:★★★★★ (満点)
館跡までの所要時間:60分 駐車場:峠道文化の森公園入口(4WDでないとここまでは入れないので注意)
※天下茶屋からのルート、河口湖側のみさか道のルートもあり
見どころ:全て堪能してください。
注意事項:峠道とはいえ標高1,500mなので登山装備で。登山靴は途中ガレが多いので厚底のものがお勧め
参考文献:「甲斐の山城と館①中部・北部編」(2014年 宮坂武男著 戎光祥出版 P384参照)
付近の城址:小山城、大野城、蜂城など
SpecialThanks:ていぴす殿

脚力に自信のある方は富士山撮影の絶景ポイントがある「天下茶屋コース」がお勧めですよ。
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Posted on 2016/11/26 Sat. 11:08 [edit]
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