らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

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小黒城 (伊那市西町)  

◆住宅地の中に眠る中世の館城◆

二年前に同胞のていぴす殿にずいぶんと南信の城をご案内いただいたのだが、お披露目することも無く眠ったまま・・(汗)

賞味期限もさる事ながら、記憶も曖昧になる前に引っ張り出して掲載することにしました・・(笑)

小黒城(伊那市) (10)
郭3の跡に神社(大山社)がある。

【立地】

前回ご案内した伊那市の春日城の約500m南にあり、小黒川が天竜川に合流する地点の河岸段丘上に位置する。周辺は住宅地が造成され、段丘下は飯田線と国道153号線が走り、その周囲には商業施設が並ぶ。開発から取り残されたように小黒城がある。

小黒城(伊那市) (2)
神社脇の鉄塔は堀切㋓が埋められた場所に立っている。見学の際はこの場所に止めさせてもらおう。(道路が狭いので注意)

【城主・城歴】

この城についての記録や伝承は全くなく不明。長野県町村誌には「小黒の古堡」として「本村の内東南にあり。残塁尚存す。何人の居住せしや事歴分明ならず」とある。その絵図には二つの方形の曲輪が並びその周囲を堀が囲んでいるという。

小黒城見取図①
小黒城概略図。(yahoo地図に加筆)郭として確認出来るのは1と3で、2は残念ながら住宅地となり改変されてしまった。

小黒城(伊那市) (13)
神社(郭3)の北側の道は堀切跡。突き当たりには主郭が位置する。

【城跡】

天竜川に注ぐ小黒川の合流地点が形成する河岸段丘は比高が約30m程にもなるので、この段丘の先端は要害地形となっている。先端角地の主郭は52m×50mのほぼ方形で、周囲を高い土塁で囲まれている。土塁の所々には土留め用に用いたとみられる石積も散見出来る。

宮坂武男氏が訪問した平成9年の時の縄張図では郭2が果樹園になっていたが、小生が訪問した時にはすでに住宅が建てられており遺構は確認出来なかったが、主郭との間の堀切㋐は辛うじて残されていた。

小黒城(伊那市) (17)
堀切㋒。右が郭3(大山社)、左が郭1。春日城の堀との共通点が伺える。

小黒城(伊那市) (18)
堀切㋒を南側より撮影。郭4は宅地造成により壊滅したようだ。

郭3の西側の鉄塔のある場所から南側は斜面に堀形が確認できるので、鉄塔も含めて北側に一条堀切があり、郭4の先でL字に折れて堀切㋐に接続していたものであろう。
郭3と郭4は現在道路で仕切られているが、形状を見るとここにも堀があり区分けされていたものと想像できる。

小黒城(伊那市) (20)
果樹園だった郭2には壮大な石壁の庭園を持つ民家が建っている。

小黒城(伊那市) (21)
広大な巾を持つ堀切㋐。やはり春日城との共通が想定される。

●主郭

周囲を土塁で囲まれた貴重な遺構で、住宅地の中にこのような場所が残されていたことに驚くと共に地主の方に感謝したい。
ていぴす殿はよほどこの城館がお気に入りなようで、数え切れないほど訪問しているのだという。
伝承不詳の城とはいえども、せめてここだけは何とか後世に残して欲しいと思う次第である。

小黒城(伊那市) (24)
広大な主郭。

小黒城(伊那市) (26)
土塁で囲まれた方形居館であることがよく分かる。

小黒城(伊那市) (30)
主郭から見下ろした堀切㋐。

小黒城(伊那市) (41)
土塁に残る土留めの石積み。

小黒城(伊那市) (42)
堀切㋒越しに見た対岸の郭3(神社)

小黒城(伊那市) (35)
西側の平虎口。

春日城に近い事や堀の構造・縄張がよく似ていることから、小黒城の主は春日氏に近い人で、春日城の南側の防衛を担った事が想定される。

これほど見事な遺構が残る小黒城、官民挙げて後世に残して欲しいと切に願う次第である。


≪小黒城≫ (おぐろじょう )

標高:667m 比高:30m
築城年代:不明
築城・居住者:不明
場所:伊那市西町小黒
攻城日:2015年2月22日 
お勧め度:★★★★☆ 
館跡までの所要時間:5分 駐車場:無し、鉄塔付近にスペースあり
見どころ:大堀切、方形居館など
注意事項:住宅密集地なので撮影時のプライバシーに注意、道路狭いので無断駐車厳禁
参考文献:「信濃の山城と館⑤上伊那編」(2014年 宮坂武男著 戎光祥出版 P279参照)
付近の城址:春日城、狐林城など
Special thanks:ていぴす殿

小黒城(伊那市) (36)
主郭の見事な土塁。

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Posted on 2017/02/05 Sun. 10:45 [edit]

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