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らんまる攻城戦記~兵どもが夢の跡~

「戦国の城」それは近世の城郭のような石垣も天守も無く、土塁と空堀というただの土で作られた戦場の砦。 戦国の世を駆け抜けた貴重な資料の宝庫です。

0829

超弩級戦艦 大和  

◆一生作るつもりのなかった戦艦大和の製作日記◆

長いお盆休みのとある日、「避暑を兼ねて映画でも見ようか・・」と思いつき、ミリタリーが好きそうな「アルキメデスの大戦」を鑑賞。

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Ⓒ2019「アルキメデスの大戦」製作委員会
Ⓒ三田紀房/講談社

映画の冒頭シーンは無謀な水上特攻「天一号作戦」で米軍機の猛攻を受けて被弾、転覆しながら爆沈する大和の最期がフルCGで再現された場面だった。

その他の見どころは三段甲板の赤城のチラ見せ、戦艦長門の艦長室の再現ぐらい。舘ひろしの山本五十六は役得だったかと。

大鑑巨砲時代の幻影を追いかける海軍の上層部連中の超弩級戦艦建造計画にストップをかけたまでは良かったが、結局は負け戦になった時に、国民が納得できるよう象徴である大和に沈んでもらう・・・その為に建造するという大義名分に心を動かされて協力する天才数学者という訳の分からない結末。 

娯楽映画として割り切るには、戦艦大和だけで約3,000名の方が戦死しているので、複雑な気持ちである。

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今回購入したプラモはFUJIMI製の大和「終焉型」で1/700。メーカー別で造り比べるのも面白いと思うが。


【戦後になって知られた戦艦大和の存在】

国民のほとんどが戦後生まれとなり、8月15日の終戦記念日は今年で74回目を数えている。

残念な事に、8月15日が終戦記念日だと答えられる人は少なくなっており、戦争の当事国である国民としては恥ずかしい限りというのが現状のようである。

映画の後半で明らかにされる大和の建造費用は137,802,000円で、当時の国家予算の4%に相当する桁外れの国民の血税を注ぎ込んでいる。

米英海軍の主力艦を上回る46センチの三連装の主砲9門を備える戦艦の建造は極秘に進められ、ましてその存在を国民が知る事など無かったし、その竣工は日米開戦の昭和16年12月8日から遅れる事8日目の12月16日であった。

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艦橋構造物を徹底して守る艤装は要塞そのもの。が、対空兵装を強化しても航空機の進化した攻撃には対抗出来なかった。

太平洋戦争では航空機による戦闘が勝敗を決し、艦隊決戦など幻影に過ぎず、連合艦隊の旗艦になろうが46センチ砲の活躍の場など来るはずも無かった。
明治維新から僅か60年で世界最大の戦艦を作った日本だったが、昭和20年4月7日に海上特攻という愚かな決断でその珠玉の宝と約3,000名の尊い命を犠牲にして坊ノ沖に沈めてしまった。

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主砲を装着すると、そのバランスの取れた美しさには改めて感動する。

戦前、戦中における日本国民が誇る戦艦は、世界の戦艦ビック7に数えられた連合艦隊の旗艦「長門」であった。

戦艦大和がその存在価値について日本人に広く認識されるようになったのは最近の事だという。

映画では、「連合艦隊」 「男たちのYAMATO」 「戦艦大和」 「宇宙戦艦ヤマト(劇場版)」  「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(派生作品)などがあり、そこから広く認識されるようになったらしい。

映画「トラ!トラ!トラ!」でミリタリーに目覚めた小生ではあったが、戦艦大和は「宇宙戦艦ヤマト」で知った・・・(笑)

「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」は映画館で何度も見て泣いていた・・・沢田研二の主題歌は今でも十八番である・・(爆)

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英国海軍仕様の金剛型四姉妹の武骨さとは違い、最強の武装をさりげない造形美の一部分とする柔軟な仕様には恐れ入る。


【自分ルールでは生涯作る予定の無かった超弩級戦艦】

ガキの頃に少ない小遣いでかじったミリタリーのプラモ作りのルーツはドイツ軍の戦車がメインだったので、戦艦は何故か1/350のフルハルの米海軍ミズーリだけだった。しかもマブチモーターで水上走行可能仕様・・・(笑)

大人買いが出来るこの歳になって制作した戦艦は、1/350のフルハル三笠、1/700の扶桑、1/700の榛名のみ。

戦艦榛名 (24)
1/700の戦艦榛名(Hasegawa製)。終焉時のダズル迷彩仕様を再現してみた。

個人的には潜水艦ヲタクなのだが、空母マニアを仮の姿として数多くプラモを作ってはいるものの、戦艦はあまり好きになれず生涯大和は作らないだろうと思っていた。

映画を見て触発された、というのもあるが、いったい艦船モデラーが恋い焦がれる戦艦大和は何なんだ?という疑問もあり「ならば製作してみるか」という単純な動機ではあった。

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46センチ三連装の1番2番の主砲と副砲、背後の艦橋のバランスは日本人の独特な美的センスとしか言いようがない。

だだっ広い駐車場に申し訳程度に対空砲を艤装した航空母艦とは違って、対艦・対空兵装てんこ盛りの艤装の戦艦建造は細かい作業の連続なので結構しんどい。おまけに、大和は船尾に零式水上観測機と零式三座偵察機の格納庫や大型クレーンも備えるのでそこは作ってても何か楽しかった・・(笑)

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零式三座偵察機の風防のスカイブルーはオモチャ感満載になったので、シルバーに塗り替えた・・・(汗)


【ウェザリングの功罪】

大和の船体側面及び甲板はエアスプレーによる塗装、船体上部の構造物及び主砲、船体後部のカタパルトや水上機は筆塗で結構時間をかけて行った。
プラモの世界でも経年劣化や現場での汚れや錆の状況をより現実的に表現する手法として「ウェザリング」という手法があり、特に地上戦を展開する戦車のジオラマでは現実と区別のつかない状況まで進化している。

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ウェザリング後の大和。ピカピカの1年生を経験豊富なベテランに仕上げる魔術なのだが、心情的には切ない。

プロのモデラーの皆さんの作品が掲載される「艦船模型スペシャル」を定期購読しているが、スペシャリストである彼らも「艦船プラモのウェザリング仕様」には様々な意見があるのも事実のようです。

さて、鑑賞にすら耐えられない処女作「戦艦大和」でしたが、世間の皆様に観て頂く事により、「次回はもっといい作品を作ろう!!」という活力に変えるという前向きな思考です・・・(爆)

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いくらなんでも汚し過ぎ・・・と思ったのですが、後の祭りでした・・・。

【戦艦大和 諸元】

公試排水量  69,100t
満載排水量  72,809t
全長       263m
全幅       38.9m
吃水       10.4m
主砲       46センチ×9門
速力       27.46ノット
出力       153,000馬力

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水上特攻として沖縄に向けて出撃し、故郷に残した家族の無事を願い、この国の行く末を案じて大和に乗り勇敢に敵と戦い、祖国に還る事の叶わなかった約三千名の大和の乗組員の皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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Posted on 2019/08/29 Thu. 21:56 [edit]

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コメント

らんまるさん

こんにちは、しんこうです!
戦艦大和の美しい姿を拝見して、いてもたってもいられず、投稿させて頂きました。
美しさは機能を兼ね備えていると信じているので、是非とも砲撃戦での活躍を見たかったなぁと思います。
機能を追求した結果美しいのか、はたまた美しい姿を追い求めた結果高い性能となったのか、、、、、
戦艦だけでなく、航空機も美しい機体が多いと思います、一式陸攻とか、
美しい大和なんですが、いざプラモを作るとなると、確かに戦艦はあんまり手をださず、僕の場合空母に食指が動きそうです。

ウェザリングといえば、戦車だと思いますが、戦車のジオラマは凄いですね、船のジオラマは情景に限りがあると思うのですが、戦車だとほとんど無限大、見ていて関心させられます。

いずれ、「アルキメデスの大戦」は鑑賞予定なのですが、先日息子に先の映画を見に行こうかと話したところ、「天気の子」がいいらしく、お流れになってしまいました(^^; 最近の若い人たちはあんまり戦争映画は興味がなさそうです。
三段甲板の赤城は楽しみにしときます。

ありがとうございました!

しんこう #- | URL | 2019/09/08 16:02 * edit *

大和は特別ですね

らんまるさん、こんにちわ。
わたしも映画館で『アルキメデスの大戦』を鑑賞してきた者です。
当時日本が完成させた、完璧と呼ぶに相応しい戦艦でしたね。
・・でも皮肉ですね、月は満ちると同時に欠けていく・・。
戦艦の時代はすでに終わっていたのですね。

私は最後のシーンで甲板で敬礼をしているシーンではやはり涙がこぼれました。これから大和に降りかかるであろうわかりきった運命を思うと・・。

佐藤直紀さんのループサウンドも無意識のうちに心の芯に沁み込んできました。反則ですね(笑)。

「大和」=大日本帝国、という設定?は太平洋戦争をよく知らない現代人、特に若い人にとってはわかりやすい内容だったと思います。キャストもバランスいい役者さんでしたね。橋爪功さんの役の不倫ばらし場面で会場が笑いに包まれたのも楽しい瞬間でしたね。

らんまるさんがこの大和だけは生涯作ることはないだろうという気持ちだったのもやはり何か特別な触れ難いものもあったのではないでしょうか?←おい!勝手に想像するな!
違ってたらゴメンナサイ💦

久太郎 #- | URL | 2019/09/08 16:46 * edit *

Re: しんこうさんへ

こんばんは、しんこうさん。コメントありがとうございます!

素人に毛の生えたような作品を掲載することは恐れ多いのですが、「こんな駄作なら俺にも作れそうだ」という輩を募り、衰退していくプラモ需要の助けになればと自負しております・・(笑)

小生が解説するまでもないのですが、艦隊による砲雷撃戦から、空母を主力とした航空兵装による攻撃への戦術の転換は、太平洋戦争の開戦と同時に日本が世界に先駆けて実践し、作戦航行中の英海軍の戦艦プリンスオブウェールズを航空機のみで撃沈する戦果は欧米各国を震撼させ、艦隊の編成そのものを根本から覆すに充分でした。

超弩級戦艦大和の建造は、それを受け入れたくない軍人の最期の心の拠り所だったのかもしれません。

プラモを制作しながら思ったのは、試行錯誤を繰り返した違法建築の扶桑型や英国風の威容を誇る金剛型とも違う国産技術とデザインの集大成としての戦艦大和をそこに見たきがします。

「男たちの大和」以来久々の戦艦を取り扱った邦画。色々と批評はあるものの、若い人にも是非鑑賞して欲しい。

「自分の国の犯した過ちの歴史を見ようとしない国民」と長年に渡り某国より名指しで批判され続けていますが、この国の若者たちが正しい歴史の史実についてキチンとした認識を持てば、彼らは我々に反論することの愚かさを自認するように思います。

「万物に神が宿る」

縄文土器から始まる道具に対する美の付加価値は、日本人のDNAに語り継がれてきた伝統だと思います。不謹慎な言い方かもしれませんが、人を殺めてしまうかもしれないミリタリーにも儚げな美しさを感じるのは、小生だけでは無いような気がします。

らんまる #- | URL | 2019/09/08 20:29 * edit *

Re: 久太郎さんへ

こんにちは、コメントありがとうございますw

某隣国に常々「自分の国の歴史を直視しようとしない民族」と糾弾され続けていますが、間違ったり歪曲された歴史観なら逆に直視してはいけないと思います。
戦争を始めた当事者が敗戦国となったことで、負の遺産を抱え続けるコンプレックスを未だに持つ国民が多いのだと思います。

だとしても、太平洋戦争で故郷を想い、家族の幸せを願い、この国の将来の為に犠牲となった人々があってこその現在の日本であることを決して忘れてはいけないと思うのです。

どうしても「戦争を取り扱った映画」=「重たい」=「観客動員数が延びない」みたいな風潮があり、どんどん製作が激減していく事を考えるとあまり喜べたものではありません。

おっと、話がなんか愚痴っぽくなってすみません・・(笑)

そんな中で封切されたこの映画、戦争映画特有の変な重たさを感じさせない秀作ですよね。
国民の大多数が戦艦大和なんて知らない時代に、日本が世界一の軍艦を作っていたという事実をさりげなく表現している。
若い役者の演技も良かったと思います。貴殿同様にもっと若者に観て欲しい作品だと思いました。

戦艦大和を作りたくないホントの気持ちですか?

そんな深層心理的なトラウマではなくて、「さらば宇宙戦艦ヤマト」の影響かなあ~なんて思ってます・・(笑)

らんまる #- | URL | 2019/09/09 07:41 * edit *

病気だあ!

人の事はとても言えませんが、「病気だあ!」

何だかんだと言っても、大和、ゼロ戦、タイガー戦車はモデラーのマスト的存在でしょうか。
俺が大和を作ったのは30年くらい前だったかな。
無駄のない合理的なデザインは他の戦艦とは別次元です。
長門とは全くかけ離れているようにも思えます。
しかし、全く戦争には役が立たず、3000人という貴重な人命を無駄にしてしまったのは悲しいです。山城、扶桑も同じですね。せめて金剛級4姉妹並みの活躍をしてほしかったです。
戦後の造船立国に大きな寄与をしたのがせめてもの慰めでしょうか。

我が家の箱モノ在庫、どうしようかなあ・・

あおれんじゃあ #- | URL | 2019/09/14 19:14 * edit *

Re: あおれんじゃあ様へ

らんまる艦隊が続々と建造され、ダイソーのケース(大和と大鳳、赤城は入らない)に入って段々に積み上げられる様を家人が見て、「処分に困るから、そろそろやめませんか?」と真面目に説教してくる・・(笑)

戦後生まれのミリタリープラモ世代は「戦艦=大和」「戦闘機=零戦」「戦車=タイガー」「ジェット戦闘機=F4ファントム」「空母=赤城・加賀」ですよね。
個人的には軽巡時代の熊野のスタイルもお気に入りで、大和のベースになっているような気もしますが・・。

航空兵装無しの艦隊決戦、実際にあったらどうだったんでしょうか?兵装の充実よりもやはりレーダーによる敵の索敵能力で決まったように思います。人命を軽んじた当時の日本にはやはり勝ち目など無かったでしょうネ。

そうそう師匠、箱ものの在庫、不要になりましたら小生が喜んで引き受けますよ!

らんまる #- | URL | 2019/09/15 16:43 * edit *
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